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付録 DOS/Windowsゲーム用音源の変移

1. 1988年頃まで

1988年頃までは、標準となるようなサウンドカードは無く、ゲームの音楽や効果音は、PC internal speaker(つまりビープ音)で出力されていました。音色は一つで、当然モノラル1ch。効果音と音楽を同時に鳴らすことなんかもできません。(2021/9/23追記)ただし、派生アーキテクチャであるPCjr(及びその互換機のタンディ1000シリーズ)はテキサスインスツルメンツのSN76489という3chのPSG音源を内蔵しており、対応ソフトもそれなりにあります[1]。(追記終わり)

2. 80年代末から90年代初頭

1980年代末頃の標準の音源カードは、Ad Libと呼ばれるものでした。これは、2オペレータながらモノラル9chのFM音源です。ゲームでは、BGMをAd Libカードに担当させ、効果音は相変わらずのビープ音、というケースが多かったようです。

また、この頃より、ローランドの外部MIDI音源であるMT-32に対応したゲームが登場し始めます(SierraのSPACE QUEST III等)。この音源は、最大同時発音数が8〜16音(選択する音色によって変わる)というものです。この音源を接続する為のMIDIアダプタは、当時の業界標準であったMPU-401(及びその互換機)に決め打ちされており、互換性の無いアダプタ(初期のSound BlasterのMIDIアダプタ等)では音が鳴りませんでした。

3. 1992〜1994年頃

この頃になると、Ad Libに変わってSound Blaster Proが業界標準となります。この音源はAd Libの上位互換で、ステレオ9chのFM音源に、8ビットADPCM音源を加えたものとなっています。これ以降、効果音はSound Blaster ProのADPCMが担うようになりました。

外部MIDI音源の標準は相変わらずMT-32ですが、この頃あたりから、Sound BlasterのMIDIポートに対応したゲームが増えてきます。

4. 1995〜1996年頃

この頃から、CPU性能が劇的に上昇し、また、CD-ROMが普及します。これによって、ゲーム、特にリアルタイム性をあまり求められないアドベンチャーゲームのBGMは、CDから逐次読み出してADPCM音源で再生する、という方向に変化します。このため、16ビットステレオPCM音源を内蔵するSound Blaster 16に対応するゲームが増え始めました。

また、この頃から外部MIDI音源の世代交代が始まります。つまり、MT-32からGeneral MIDI(GM)音源への移行です。GM音源は、最大同時発音数が24音であり、また、ウェーブテーブル音源の使用により、より高品位なBGMを提供できるようになりました。多くのゲームは、MT-32にも対応していますが、Ultima VIIIのように、GM対応、MT-32未対応のゲームも存在します。

また、この頃は、Windos3.1〜Windows95登場時に相当します。Windowsは、標準の音源としてGM音源相当のものを想定しており、この時代のWindows用ゲームは、GM相当の音源でBGMを鳴らすものが多くありました。なお、Windowsにおいては、シンセサイザはWindows APIによって間接的に制御されるため、MIDI経由で接続されていないGM相当音源(Sound Blaster AWE等)でも音を鳴らすことができます。

5. 1997年以降

97年以降は、BGMも効果音もADPCM音源で鳴らすのが当たり前の状態となり、ゲームの為にウェーブテーブル音源を使用する、ということは行われなくなりました。現在の音源は、ADPCM音源のみというのが一般的です。また、5.1chや7.1chなどのマルチチャンネルが普及し、最近ではマルチチャンネルに対応したゲームも多く見られます。


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