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はじめに

2024年2月28日はFM TOWNSの発表からちょうど35年、ということでインプレスPC Watchから「FM TOWNS誕生から35周年。初のCD-ROM標準搭載パソコンを振り返るという記事が出た。著者は大河原克行氏。氏は業界向けIT氏である週刊BCNの元記者(後に編集長)であり、TOWNSの発表時にも記者として立ち会っている。その為、報道者向け資料や、当時の生産体制など興味深いトピックも書かれている。

しかしながら、一TOWNSユーザとしてみると、発売前~発売直後の大々的な印象とその直後5月の失速[1]が強調され、そのまま終息したかに見えるような書き方はどうなのか、とも思う。実際にはそのあと97年まで8年も新機種が出続けていたわけだし。

この記事は2021年に同氏がマイナビニュースに寄稿した「富士通のパソコン40年間ストーリー【7】「FM TOWNS」はのちのパソコンに大きな影響を与えた」の焼き直しであり、こちらの方はTOWNS発売後の行方についてより詳細に説明されている(そのためこちらの方が好意的な印象を受ける)。

それ以外のTOWNS関連記事としては、2020年に書かれた、当時富士通の広報担当だった秋山岳久氏による「PC広報風雲伝[archive]」の第一話~第四話がある。秋山氏の記事は広報という当事者からの視点という興味深いものである一方で、記憶違いと思われる個所もあり、ちょっと違うかな、と思うところもある。

TOWNSが登場した1989年は8ビットパソコン時代の(ホビーがパソコンの主要な用途であった時代の、と言い換えてもよいだろう)末期である。良くも悪くも8ビット時代というのは「アーケードゲーム移植などアクション性の高いゲームの出来」ことこそ評価基準であり、そのためには「バッドノウハウを使ってでも使ってハードウェアの性能をフルに引き出す開発手法」が美徳とされていた時代である。その為、それができたX68000は理想のPCでありそれゆえに今なお関連商品が発売されるなど人気が高い。

これに対し、TOWNSはある意味FM-8時代のコンセプトに立ち返った汎用性の高さや開発のしやすさを重視したPCであり、上記の8ビット時代の美徳とは反するものであった。1989年はX68000の全盛期でもあり[2]、ローンチタイトルであったアフターバーナーの不出来などもあって評価は低い。しかしながら、TOWNSが販売されていた主要期間である90年代前半は、ホビー用途自身がマイナー化していった時期でもあり、X68kのようなホビー特化マシンは市場のニーズから外れており、TOWNSのコンセプトは決して間違いではなかったと感じている。ホビー用途のみならず、ビジネス、コミュニケーション、知育、家庭用途などバランスよくソフトも揃っており、末期はWindows3.1マシンとしても使えたわけで、当時も決して悪い選択肢ではなかったと思っている。TOWNSは過小評価されている

ということで、II UX→Fresh E→VTOWNS Model Hと使い続けていた(し今も時々使っている)自分が、FMユーザ以外のレトロPCファン向けに、思い入れたっぷりでTOWNSの魅力を語ってみたい。


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