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TOWNSでLAN

謝辞

本ページを作成するに当たり、以下のページを参考にさせていただきました。ありがとうございます。(2016/10/23追記: 閉鎖しているサイトが増えて残念。TOWNSユーザはニフティサーブ経由でインターネットに入った人が多そうなのでNifty @homepageの終了に合わせて閉鎖した人が多いんだろうか。Web Archiveに資料が残っていることもあるのでURLも残しておくことにしました)(2019/10/12追記:リンクをWeb Archiveのものに変更しました)

Zeptic Field[archive]

Zeptoさんのサイトです。TownsにMS LAN ManagerをインストールしてWindowsとのファイル共有を実現する方法のほか、Pure TOWNSの拡張について詳しく書かれていました。(残念ながら閉鎖の模様。URL:http://homepage1.nifty.com/zepto/)

Doll House (仮称)[archive]

Marionetteさんのサイトです。TownsをNetwareクライアントにする方法について記載されています。(閉鎖の模様。URL:http://www2.crt.or.jp/h-w/)

AutoCANCELerDAS[archive]

DASさんのサイトです。mars_nweとTOWNSとの連携について触れられていました。(閉鎖の模様。URL:http://www.coara.or.jp/~sudakyo/)

H.Sato's V-TOWNS Room[archive]

佐藤 博さんのFM V-TOWNSの総合情報サイトです。(閉鎖の模様。URL:http://homepage3.nifty.com/vtowns/index.html)

こちら花小金井3丁目

HOTARUIKA☆さんのTOWNSサイトです。多くのTOWNSの技術資料が掲載されています。

Itsui web[archive]

伍井 浩さんのサイトです。「SOHO、家庭向け初心者ネットワーク構築講座」を掲載しています。(閉鎖の模様。URL:http://www.itsui.com/)

Que's reminder[archive]

Queさんのサイトです。NetwareとLinuxについての資料等が掲載されています。(閉鎖の模様。URL:http://homepage1.nifty.com/Que/index.html)


まえがき

最近、Yahoo!オークション等でTOWNS用LANカードがちらほらと出品されるようになってきました。このLANカードの使い道としては、

  • Windows95で使う

  • Linuxで使う

  • DOS/Windows3.1/TownsOSから、Microsoft Networkクライアントとして使う

  • DOS/Windows3.1/TownsOSから、Netwareクライアントとして使う

の4つが考えられます。

Windows95とLinuxはデフォルトでLANカードに対応しており、またNetware、Microsoft Networkの両方のクライアントとして振る舞うことができるので、なんら問題はありません。HDDを結構食うのが欠点ですが....

DOS/Windows3.1/TownsOSから、Microsoft Networkクライアントとして使う場合は、FMR用のMS LAN Managerが必要です。これを合法的に入手するには、Windows NT Serverを入手するのが最も手っ取り早い方法です。先日(2001/7/22)秋葉原のとあるお店でNT Server4.0のアップグレード版が15000円で売っていましたが、この中にFMR用のMS LAN Managerが入っているかどうかは私は知りません

また、FMR/TOWNS用のNetwareクライアントは、ノベルのサイトからダウンロードできますが、肝心のNetwareサーバはかなり高価です。また、サーバ機は(Windows 9x/NT/2000/XPやLinuxのように)サーバを裏で動かしておいて尚且つ作業環境としてバリバリ使う、という真似はできず、サーバとして振る舞っている時は(つまりNetwareが起動しているときは)それ以外のことができません。

しかし、LinuxやFreeBSD用としてmars_nweというNetwareクローンがオープンソースで公開されています。これさえあれば、ただでNetwareサーバもどきを構築することができます。また、mars_nweはLinux/FreeBSD上で動く1プロセスですので、 Linux/FreeBSDマシンをNetwareサーバとして運用しつつ、他の作業もこなすことができます。これを使わない手はないでしょう。


ハードウェアの設定

TOWNS用LANカードの設定

TownsOSで動作することが判明しているLANカードとしては以下のものがあります。

  1. pureTOWNS用(SN除く)

    • 富士通 FM50L186/186A

    • 富士通 FM50L187/187A

    • 富士通 FM50L188

    • 富士通 FM50L189

    • RATOC REX-3586

    • ALSI 100-BASE-VGAnyLAN

  2. FM TOWNS II モデルSN用(PCMCIA)

    • 富士通 FM50N183

    • 富士通 FMV-J181

  3. VTOWNS用

    • 富士通 FMV-181

    • 富士通 FMV-182

    • 富士通 FMV-183

    • 富士通 FMV-184

このうち、100-BASE-VGAnyLANはカードに付属するドライバディスクを入手する以外にTownsOS用のドライバを得る方法はないので、これらのカードをオークション等で入手する場合はドライバディスクの有無についてよく確認してください。REX-3586のドライバはラトックシステム株式会社のウェブサイトから入手可能であり、また他のカードについてはNetware Client自体にドライバがついてきます。(2021/7/3追記)また、FM50L18xはその名の通り本来はラップトップ機であるFMR-50LT用のカードであり、TOWNSで使用する場合はLTカードアダプタFMT-192(基板にはFM16ZAという型番が入っているのでこちらの名前で流通していることが多いようです)と組み合わせて使用します。

(2023/2/14追記)これまでFM50L188/189はドライバディスク必要と記載していましたが、NetWare Client標準添付のドライバとして"FMR60-188/189"がある以上、そのラップトップ版と考えれらるFM50L188/189も動作するのではないかと推定されます(2023/2/15追記: FM50L189がNetware Client付属のドライバで動作したとの報告あり(2009年1月28日 (水) 21時08分34秒のところ))。また、公式にはサポートされていませんが、初代/二代目TOWNS+I/O拡張ユニットFMT-601/602+FMR-60-186/187/188/189でも動作する可能性があります。なお、186と187はAMDのAm7990コントローラが採用されており、それ以外の富士通製のカードおよびREX-3586は富士通MB8696xコントローラが採用されているようです。(追記終わり)

この中では、(VTOWNS用のものを除けば)おそらくFM50L186が最も入手しやすいものと思われます。FM50L188/189は公式には TOWNSには対応していない、FMR50のラップトップ機専用のカードですし、TOWNSにLANが導入されていた頃は、10BASE-2の FM50L186で組む方がコスト的にも配線の取り回しという点でも有利だったと思われるからです。わたしもこのFMR50L186を使っています。

さて、無事カードを入手したのち、必要に応じてカードのジャンパ設定を行います。設定項目は、FM50L186/187の場合は、以下の3つです。

  • I/Oアドレス

  • 割り込みレベル(PC/ATでいうところのIRQ)

  • 10BASE-5に電力を供給するか

ここで重要なのは、割り込みレベルの設定です。FM50L186のデフォルトの設定では割り込みレベルが4(ジャンパJP2の2-3, 5-6をそれぞれショート)に設定されているのですが、この割り込みレベルはMIDIカードと競合します。MIDIカードを利用されている場合は、ジャンパJP2の1-2, 5-6をそれぞれショートさせてやって割り込みレベルを10に設定する必要があります。

サーバ用LANカードの設定

LinuxやFreeBSDで使えるものなら何でも構わないでしょう。

ハブ、ケーブル

さて、TOWNSをLANに接続させる場合、FM50L186/186A/188以外のものについては何も考えることなく10BASE-Tのハブにケーブルを差し込めばすむのですが、FM50L186/186A/188は10BASE-2/5です。この場合、TOWNSをLANに参加させる方法としては以下の3パターンが考えられます。

  1. LANを10BASE-5で統一する。

  2. LANを10BASE-2で統一する。

  3. TOWNS用LANカードの10BASE-5コネクタにAUIトランシーバ(4000円程度)をつないで10BASE-Tにコンバートする。

  4. 10BASE-2対応のLANカードをサーバに刺す。

  5. 10BASE-2コネクタのあるハブを使う。

まず最初のはコスト的に見て論外。次のは最初のよりはましですが、ノートPCやブロードバンドルータをLANに参加させることが困難となります。3 番目の案が一番無難なように見えますが、私はあえて勧めません。10BASE-5は基本的に電力食いです。電力を食うということは発熱も大きいということです。また、私のLANカードだけかもしれませんが、FM50186は結構熱に弱く、真夏にエアコンなしでしばらく使っているとカードがノイズだらけのパケットを流すようになってくるようです。と、いうことでカードをいたわるためにも、10BASE-2を使うことを私は勧めます。

残りの2つについてですが、「とにかく安くあげたい、Netware Client以外の目的には使わない」というのであれば4番目を、「LinuxやWindows95を入れている(または入れる予定)/TOWNS用の TCP/IPドライバを使いたいのでNetwareサーバが落ちているときでもネットワークが使えるようにしておきたい|ならば5番目の方法を取るのがよいでしょう。これらの機材は、例えば愛三電機などで入手できます(2019/10/12追記: さすがに10Base-2ハブはもう入手できません。オークションで探しましょうケーブル、コネクタ、終端抵抗はまだサンワサプライの通販で購入可能です)。10Base-2系の機材は今後入手しづらくなるはずなので今のうちに必要な数を押さえておくべきでしょう。ちなみに4番目の方法であれば、

  • LANカード:Accton EN1660SJ(698円、ISA、T型コネクタ付き) 1枚

  • 10Base-2ケーブル 1本

  • T型コネクタ 1本

  • 終端抵抗 2つ

5番目の方法ならば

  • ハブ:NETGEAR EN104(3480円、10BASE-2x1 10BASE-Tx4、T型コネクタ 終端抵抗付き) 1つ

  • 10Base-2ケーブル 1本

  • 10Base-Tケーブル 1本

  • T型コネクタ 1本

  • 終端抵抗 1つ

となります。10BASE-2というのはSCSIと同様、両端に終端抵抗の付いたケーブルに各コンピュータがぶら下がっています。SCSIの外づけドライブと違って10BASE-2のコネクタはカードやハブに一つずつしか付いていないのでT型コネクタで分岐させる必要があります。詳細は、Itsui webの10BASE-2の解説ページ[archive]をご参照ください。


サーバの設定

カーネルの再コンパイル(Linux)

LinuxはNetwareのプロトコルであるIPXを扱うことができますが、多くの和製ディストリビューションのデフォルトのカーネルではサポートされていません。そこで、カーネルをコンパイルし直す必要があります。以下に私が使っていたVine Linux2.1のカーネルコンパイル手順の一例を示します。なお、カーネルの置き換えにより、システムが不安定になったり起動しなくなったりすることもありますので気をつけてください。

  1. カーネルのインストール。# rpm -ivh kernel-source-2.2.17-0vl10.i386.rpm

  2. ソースのおいてあるディレクトリに移動。# cd /usr/src/linux

  3. config。# make xconfig

  4. "Networking options"の"The IPX Protocol"をy、"IPX: Full internal IPX network"をnに設定し、セーブして終了。

  5. コンパイル。# make dep clean bzImage modules modules_install

  6. カーネルのインストール。# installkernel vmlinuz-2.2.17-1 arch/i368/boot/bzImage System.map

  7. /etc/lilo.confの編集。"image=/boot/vmlinuz-2.2.17-0vl10"を"image=/boot/vmlinuz-2.2.17-1"に変更。

  8. liloの再設定。# lilo

  9. 再起動。

(2021/7/4追記)

Debian GNU/Linuxの場合、ipxカーネルモジュールがビルド済みであるため、 /etx/modulesipx という一行を追加するだけでIPX対応になります。

カーネルの再コンパイル(FreeBSD)

FreeBSDもデフォルトのGENERICカーネルではIPXはサポートされていません。IPXサポートをアクティブにするには、カーネルのコンフィギュレーションファイルに

options         IPX

と、いう行を追加します。カーネルのコンパイル方法は、ハンドブックを参照ください。

mars_nweのインストール

Linux

2001年頃まではRedhat Linux等にパッケージが付属していましたが、現在(2009年)、mars_nweパッケージを提供してるメジャーデストリビューションはないようです。と、いうことで、ソースからビルドしましょう。公式FTPサイトは既に閉じてしまったらしく、また、公式ミラーサイト(ftp://ftp.gwdg.de/pub/linux/misc/ncpfs/mars_nwe/)には、古い(セキュリティホールのある)ソースしかありません。と、いうことで、私がダウンロードしたソースを提供します。最新(pl20)よりやや古いソースですが、こちらの方が最新版より安定している、とのことです。(2021/7/4追記: yu_izumi’s blogによれば、より新しいバージョンが http://ftp.disconnected-by-peer.at/ncpfs/ からダウンロード可能とのことです)

コンパイルは、最近流行りのautomake, autoconfではありません。詳細はQue's reminderさんの所にあるMars/nwe メモ[archive]を参考にしてみてください。

(2021/7/4追記) 最新のpl23では、 cmake g++ libgdbm-dev をインストールした上で、解凍したディレクトリに移り cmake . make make install で良いようです。インストール後にディレクトリ /var/log/mars_nwe を作成し、/etc/tmpfiles.d 以下に d /var/run/mars_nwe 0755 root root という内容の設定ファイルを作成します(参考: cles::blog)。ここで一旦再起動します。

FreeBSD

portsやpackageで入れるのが良いでしょう。また、/etc/rc.confに

ifconfig_sis0_ipx="ipx 0x102"

という行を追加する必要があります。(sis0はお使いのLANカードにあわせて適宜読み換えてください)

(2021/7/3追記)テストしてみたところ、FreeBSD 8.4-Release時点でのportsはうまく動作せず、pl19時代のportsなら動作します。具体的にはpl19時代のportsの内容に差し替えた上でmakeするのが良いでしょう。

nwserv.confの編集

mars_nweの設定ファイルはLinuxなら/etc/nwserv.conf、FreeBSDなら/usr/local/etc/nwserv.confです(pl23では /usr/local/etc/mars_nwe/nwserv.conf となります)。以下に一例を示します。この例では省略していますが、デフォルトのnwserv.confにはコメントが入っていますので、参考にしてください。

1 SYS  /var/local/nwe/SYS  k  711 600
#TOWNSではSYS以下のみしかアクセスできないのでこれだけで十分
2 MARS    # name of the server would be "MARS"
3 0x31 1 #FreeBSDはこの行をコメントアウト
# 3 0x102 #FreeBSDの場合はこの行のコメントアウトを外す
4 0x21 eth0 ethernet_ii 1 #LANカードがeth0以外ならば変更してください
5 0x0
6 1 0x1
7 7
8 0x100
9 00 00
10 99
11 99
12 SUPERVISOR username #usernameはroot以外にしておいた方がよいです
13 USER username password
#左からnetwareクライアントでのユーザ名 Linux/FreeBSDでのユーザ名 パスワードです
#パスワードはLinux/FreeBSDユーザのパスワードである必要はありません
15 1 password #passwordについては同上
16 2
17 0x0
18 0x0
40  /var/spool/nwserv/.volcache
41  /var/spool/nwserv/.locks
42  /var/spool/nwserv
45  /var/nwserv/db
46  /var/nwserv/attrib
47  /var/nwserv/trustees
100     0
101     1
102     0
103     0
104     0
105     0
106     1
200     1
201     /var/log/nw.log
202     0x1
210     5
211     60
300     1
301     /var/log/nw.routes
302     0x1
310     7
400     /etc/nwserv.stations
401     0
402     0

共有ディレクトリの設定

共有ボリュームをドライブに割り当てるためのmap.exeは配布されていませんので、TOWNSはログイン用のSYSボリュームしかアクセスできません。そこで、/var/local/nwe/SYSの下に共有したいディレクトリのシンボリックリンクを張っておきましょう。書き込み可能としたいディレクトリは、chmodしておくのをお忘れなく。

以上でサーバ側の設定は終了です。スーパーユーザになって、# nwservでmars_nweの起動、# nwserv -kで停止です。なお、FreeBSDの場合は、nwservよりも先にIPXroutedが-sオプションで起動している必要があります。


クライアントの設定

まず、ノベルのサイトからFMR用VLM clientとNetware3.11J用のlogin.exeをダウンロードします。なお、VLM clientはディスク6枚組ですが必要なのは最初の3枚だけです。vlmfmr1.exeを解凍するとreadme.1stが生成されるので、それを見てVLM clientのディスクを作りましょう。

ディスクを作ったらインストールしましょう。なお、config.sysとautoexec.batのバックアップを取るのを忘れずに! IP clientはインストールする必要はありません。また、インストールするLANカードのドライバですが、FM50L186/187は"FMRLAN" を、SNなら"FM50N-183"を、VTOWNS及びFM50L188/189なら"FMR60-188/189"、それ以外はドライバディスクをつかってインストールします。

続いて、net.cfgを編集します。FRAMEをethernet_iiに、FIRST NETWORK DRIVEをKあたりに設定しましょう。ついで、パスの通っているディレクトリにlogin.exeをコピーします。

以上でクライアントの設定は終了です。再起動したのち、コマンドプロンプトに降りてloginを実行してください。


注意事項

  • TOWNSから見えるファイルは、「英小文字/数字/記号の8.3形式のファイル」に限定されます。一つでも英大文字が入るとTOWNSからは見えなくなるので注意。

  • パフォーマンスはあまりよくありません。


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