Space Quest I
- 公開日: 2000/02/06
TM & (C) Sierra On-Line
概要
Sierra On-Lineの代表的お笑いアドベンチャーゲームシリーズの記念すべき1作目。 宇宙船の一掃除夫(笑)、ロジャー・ウィルコのヘッポコ冒険物語。 なお、作者は自称『アンドロメダ出身』のScott MurphyとMark Crowe(なんだかなぁ)。 『Space Quest Collection』に収録(IBM-PC版)。
ストーリー
ここは宇宙船アルカーダ。 惑星を恒星化する機械『スタージェネレーター』の研究船である。 現在彼らの母星、ジーノンは死滅の危機に瀕しており、新しい太陽を求めていたのだ。 主人公ロジャー・ウィルコはこの宇宙船の掃除夫である。
その日、ロジャーはいつものようにクローゼットの中でさぼっていた。 突然緊急アラームが鳴る。 どうやらアルカーダがエイリアンに乗っ取られたらしい。 おそらく狙いはスタージェネレーターだろう。 外へ出ると船内は死体が累々だ。 一刻も早くアルカーダから脱出せねばならない。
レビュー
シエラ・オンラインといえばApple][時代の『ミステリーハウス』を皮切りに数々のヒット作を生み出してきた老舗中の老舗である。 そのシエラのアドベンチャーゲームの中でも、特に傑作と呼ばれ、シリーズ化されているのが、 "King's Quest" "Police Quest" "Hero's Quest(後に'Quest for Glory'に改題)" "Leisure Suit Larry" そして "Space Quest"である (最近では"Gabriel Knight"シリーズがこれに加わる)。 これらのシリーズが今も根強い人気を保っているというのは、Yahoo!に登録されているサイト数からも窺い知ることができる。
しかしながらこれらのシリーズ、日本では全くと言っていいほどウケなかった。 "Leisure Suit Larry"以外は日本語版が出たこともあったのだが、いずれも1作止まりだった。 (King's QuestはVとVIIが出ていたが) (EGAからのベタ移植のグラフィックが敬遠されたんだろうな、やっぱり。 面白いゲームなだけにきわめて遺憾である)
シナリオは"Space Quest"というタイトルとは裏腹に基本的にお笑い路線。 もちろん主人公のロジャーも「正統派」3枚目だ(この辺がルーカスの路線と異なるところ)。 各キャラクターの大ボケぶりがたまらない。 ちょっと早く終わりすぎるかな、という気もするが、安いので許す。 謎解きも理不尽なものはなく、かといって簡単過ぎるということもなく、ゲームバランスも良い。
しかし、なんといってもこのゲームの最大の魅力は「主人公・ロジャー・ウィルコの死にっぷり」である。 とにかく弱い。 ヒーローとは思えないほど弱っちくて、すぐ死ぬ。 序盤戦だけでも「エイリアンに頭を撃ち抜かれる」「宇宙服を着ずに船外に出て破裂」「ブリッジから転落」「脱出ポッドごと宇宙船に激突」「シートベルト着用忘れ」「『押しちゃいけないよ』ボタンを押して別な世界にワープ」とこれだけの死亡パターンが用意されている。 もちろん作者からのコメント付きだ。 分かりやすいトラップがそこら中に用意されていて、「死亡パターンを見せたがっている」としか思えない(笑)。 これだけでもこのゲームをやる価値がある、いやほんとに。
なお、このゲーム、オリジナルのPCjr/EGA(160x200,16色)版と、Space QuestIVのエンジンを使ってリメイクされたVGA版の2種類があり、いずれもSpace Quest Collectionに収録されている((PCjr/EGA版のタイトル画面))。 もちろん操作性・グラフィック・サウンド全ての面でVGA版の方が上なのだが、まずPCjr版をやってみることをお勧めする。 そりゃあEGA版は16色だしタイトル・エンディング音楽はブザーだし[*] おまけにコマンドはキーボード入力だ。 しかしそれだけにアイテムと背景の区別がつけやすく、ゲーム進行は楽だ。 だから、一度EGA版を解いて、大まかな解き方を頭にたたき込んだ上で改めてVGA版をやる方が何かとやりやすいと思う。
Attention!
このゲームを含む、1990年代初頭にリリースされたシエラのVGAアドベンチャーゲームは当時のマシン(速くても486-25〜33MHz程度)を想定したタイマ処理を行っており、Pentium以上の実機では時間切れゲームオーバーとなるケースが多々ある。これらのゲームはDOSBOX下でプレーすべきだろう。