NEC PC-8801mkIISR(1985)
- 公開日: 2020/09/08
- 更新日: 2020/09/19
ハードウェア概要
1985年にNECから発売されたZ80ベースのパソコン。1981年に発売されたPC-8801、1983年に発売されたPC-8801mkIIの後継機にあたる。元々のPC-8801は2色ながら640x400の画面モードを持っている一方でシンセサイザー機能がなく、ビジネス用途を強く意識した機種であったが、本機はFM音源やALU[1]、サイクルスチール[2]の採用などホビー面を前面に押し出したマシンとなっている。
本機及びその後継機は1980年代後半を代表する8ビットホビーパソコンであり、1989年ごろにPC-9801VM/UVシリーズに取って代わられるまで市場における支配的な存在だった。
派生機として、16ビットCPUを追加し且つAV機能を強化した88VAや、PC-9801VMとニコイチにしたPC-98DO/DO+がある。
コントローラ端子の特徴
本機はコントローラ端子を1つもっている[3]。ピンアウトは以下の通り。
派生機のうち88VAは本機と同様で、PC-98DOは端子無し、DO+(PC-88モード)はマウスポートに変換アダプタ(PC-98DO/P-11)を挿すことによって本機と同様となる。
pin# |
Function |
---|---|
1 |
Digital in / Digital out |
2 |
Digital in / Digital out |
3 |
Digital in / Digital out |
4 |
Digital in / Digital out |
5 |
VCC |
6 |
Digital in / Digital out |
7 |
Digital in / Digital out |
8 |
Digital out |
9 |
GND |
本機の端子は、ピン1〜4のグループと、ピン6、7のグループに別れており、グループごとに入出力を設定可能である。ジョイスティック端子として使う場合は、全てのピンを入力に設定し、且つピン8をLに設定する。
ハードウェア実装
本機のジョイスティック端子は、FM音源コントローラであるYM2203のI/Oポートを利用して実装されている。YM2203のI/Oポートの制御方法は「PSG音源の利用」を参照のこと。大 深 海 水 淵 亭の『PC-8801 覚え書き』によれば、端子のピン1〜4、6、7はそれぞれI/OポートのPA0〜3、PB0、PB1に接続されている。ピン8についてはI/Oアドレス$40のビット6[4]で制御する。
今野 博晴・平間 勝「PC-8801mkⅡSRテクニカルマップII」(秀和システムトレーディング)、P236-237より抜粋した回路図を以下に示す。図に示されるように、ピン8はゲートアレイ、フリップフロップICである74LS273を用いて実装されている。
I/Oアドレス$40のビット6は、元々PC-8801の汎用I/O端子[5](入力4、出力1。コネクタはデータレコーダと共用のDIN9ピン)の信号出力端子を制御するために使用されていた
レトロコンピュータピープルの『PC-8800 I/Oマップ』によれば、YM2203を制御するためのI/Oポートアドレスは以下のとおりである。
$44(W): YM2203のレジスタ指定
$45(W): YM2203データ出力
$45(R): YM2203データ読み出し