TOWNSタブレット
- 公開日: 2022/05/08
概要
1992年秋にFM TOWNS用として発売されたペンタブレット。型番はFMT-TB111。色は当時のTOWNSと同じグレーである。後にTOWNSの筐体の色が白色に変わったため、タブレットもそれに合わせた色のもの(FMT-TB111W)が発売されている。ワコムのOEMである[1]。付属のペンの側面にはボタンがついており、タブレットはペンが触れたときにボタンが押されているかどうかを判別可能である。同時期に登場したTownsシステムソフトウェアV2.1L20(及びそれ以降のシステムソフトウェア)にドライバが付属しており、TOWNSではコントローラポート1(通常はTownsパッドを指す側)に接続した上でドライバを有効にするとTownsMENU含む対応ソフトでタブレットが使用できるようになる。
アタリ仕様ポートに接続可能なタブレットとしてはこれまでもPC-6001、MSXSやpetravideo社のパソコン向けのものがあった。本機はこの従来製品と比べ分解能や筆圧検知機能という点で優っている。
本機は後述するようにピン7と8を出力端子として使用するため、対応機種はPC-6001相当のコントローラ端子を備えたものに限定される。加えて、後述するようにμ秒単位での処理を行う必要があるため処理速度がそれなりに早い機種でなければ実用は難しいだろう。TOWNS以外ではX68000用のフリーのドライバがあるようだ[2]。
タブレット仕様
ピンアウトは以下の通りである。
pin# |
Function |
---|---|
1 |
Data Bit0 |
2 |
Data Bit1 |
3 |
Data Bit2 |
4 |
Data Bit3 |
5 |
VCC |
6 |
Clock(IN) |
7 |
Tablet Enable(OUT) |
8 |
Data Request(OUT) |
9 |
GND |
ピン7はタブレットを動作させるための信号でこれがLOWになると、タブレットはピン1~4、6から信号を送出し始める。ピン8は機器側からタブレットにペンの読み取りデータを要求するための信号で、ピン8からパルス信号を送るとその立ち上げ、立下りに同期して(数μ秒遅れて)ピン1~4からデータが送信される。読み取りデータは32ビットであり、8回分のデータを得るためパルス信号は連続して4回行われる[3]。
ピン6は一種のクロックで、周期的に幅800μ秒のパルスを送出している[4]。タブレットは前述するピン8への応答とは別に、このパルスの立下り直前にもペン読み取りデータを出力している[5]。
1回目のパルス主力に応答して得られる2回分のデータ(計8ビット)からペンがタブレットに触れているかを検出可能であり、ペンが触れていないと判断した場合はTOWNSは残り3回のパルス送信をスキップする。
ピン8の立ち上がりを検出するとHIGHになり、そのまま本来の立下りのタイミングまでHIGHを維持する。
この仕様の為か、TOWNSのタブレットドライバはピン6がHIGHの時はリクエスト信号の出力を1回スキップする。
読み取りのタイミングや出力されるデータの構造は以下の図の通りである。
検出方法
上記の通りペンの読み取りデータは、(1)機器側からのデータ要求パルスに応答して出力されるもの、(2)クロックに同期して周期的に出力されるもののニ種類があり、どちらかのデータを利用する。TOWNSは前者のデータを使用しており、以下のようなルーチンであると思われる。
ピン6を読み取る
ピン6がLOWならば幅5μ秒のパルスを送信する。
2.のパルスの立ち上がり、立下りから数えてそれぞれ3~4μ秒後にピン1~4からのデータを取得し、8ビットのデータを得る。
得られた8ビットのデータからペンがタブレットに接触していると判断された場合は、続けてパルスを3回送り、計32ビットのデータを得る。ペンがタブレットに接触していないと判断された場合は何もしない。
約23ミリ秒待機した後1.に戻る