環境デザイン研究所について気づいたこと
- 公開日: 2006/11/04(土) 11:11[JST]
別に新事実、というわけではなく、市の公式資料にちゃんと書いてあることなのですが。私自身も宮本健司広島市議のブログの田辺一球氏のコメントを読んで気づいた次第。
環境デザイン研究所の名誉所長(創業者)の仙田満氏は「東京工業大学建築学科名誉教授」という肩書をもっています。以前は教授で、今年度から肩書が名誉教授になったようです(2005年度末に名誉教授に推薦されています)。
そして、仙田氏はこっちの肩書(当時は教授)で、新球場建設検討委員会 に参加しています。
仙田氏はまず、2004年12月28日に新球場建設検討委員会施設部会に招かれ、その時は、
現在地に建て替えると解体費用が加わるので更地につくるより金がかかる。現在地でつくるならば、現球場を補強・改修する方が時間はかかるが安くできる。
現球場を補強して屋根をかけるスタンスからの検討も必要である。西武球場は、2シーズンのシーズンオフを使って屋根を架けた。
開閉ドーム(可動式)は難しいという感触をもっているが、固定式の屋根架け自体は可能と思う。
とのコメントを残しています。田辺一球氏によれば(前述の宮本市議のブログのコメント)、"仙田教授は昨年末から突然、頻繁に市民球場を訪れて細部に渡る検討をしておりましたが
"とのことです。(てか、検討委員会に頼まれたのだから市民球場を調査するのは当然ですな)
その後、2005年3月15日の新球場建設検討委員会施設部会にて、新球場の提案書を出しています。内容は市民球場改修とヤード跡地新設の二本立てとなっています。
改修案の方は、
外野席の前列を削ってグランド面積を確保(その結果、外野フェンスは多少高くなります)
外野席を後方に拡張(↑の減少分とあわせてトータルで2000席の増加)
西武ドームの一期工事みたいな屋根 を座席全体に取り付け
外野席最上段の外側にデッキ増設。デッキは一部青少年センターの屋上とつながっている。
現在の外野席上段と増設した外野席の下に諸室を増設
という提案となっています。
一方、ヤード跡地新設案は、環境デザイン研究所名義で出した案のプロトタイプですね。田辺一球氏は"「ヤード跡地に以前のエンティアム案の球場部分だけ(複合施設をカット)をはめ込む」信じられない図面
"と指摘していますが、私は全然似ていないと思います。(そもそもエンティアム案って、上面図ありましたっけ。私は俯瞰図しか見たことがありません。尤も、田辺氏は一般公開されていない資料を入手しているのかも知れませんが)
なお、市民球場跡地も同時に提案しており、半屋内型施設の「パフォーマンスセンター」を軸にした案を提案しています。
ということで、環境デザイン研究所案は、なんだかんだ言って一年半以上検討を続けてきた案で、2005年7月22日の説明会の資料によれば、この案がカープの提案を相応に反映しているものであることがうかがわれます。環境デザイン案の出来の良さは「長期間かけて検討を行い、猶且つ球団の意向も事前にチェックした成果」であると言えそうです。もちろん、実績のある鹿島や日建設計からなんらかのアドバイスを受けている(経緯からそういう可能性もある、というだけであって何らかの証拠があるわけでは無いので念のため)、というのもあるでしょうが。
なお、「環境デザイン研究所だけ準備期間が長いのはずるい」とかいうつもりは全然ありません。ファンとしてはいい球場が出来てくれればそれでいいわけですから。
おじゃまします。
確かにそうですね。
仙田氏の名前でググると広島市との関係が以前からあったことが分かります。
私も最初そのことを知った時は少し考えましたが、
しかし、コンペでアレを上回る作品があったにも関わらず環境デザイン研究所の案が選ばれたと言うのであれば、文句の一つくらい言えるでしょうが
実際は、一番優れていた案が順当に選ばれた訳ですから、私も出来レースとかイカサマとかケチをつけるつもりはありません。
最近では、一球氏も案そのものにはケチをつけてはいないようですが・・・・むしろ予算面ばっかり文句言ってますね。あとは市長選のこととか・・・・
個人的に一球氏の言ってることは、某市議会議員からの受け売りが主と思っています。
いずれにせよ、早く順調に出来ることを祈るばかりです。
もう一つ気づいたことがあるので追記しておきます。
この経緯から見ると、エンティアム頓挫後にもカープは「次」があることを見越して独自に新球場案の検討を続けており、そのデザインを流用したのが2005年3月の仙田案、それをブラッシュアップしたのが今回の環境デザイン研究所案、といった形になるようです。
それにしても、パフォーマンスシートの概念って2004年12月からあったんですね。
もう一つ追加
仙田氏の2005年3月の提案を見直すと、あくまでも「カープ案の球場に基づき周辺敷地を整備」としっかりとかいてありますね。また図面もビットマップの部分とCADで描かれたと思われる部分とに二分されます。
以上のことをあわせると、仙田氏の案において、球場の形状、位置、向きなどはカープが提案したものであり、仙田氏の案は歩道と周辺施設の提案を行ったものである、といえます。
素早い仕事乙です。興味深く読ませていただきました。
2004年の12月の資料なのですが、この時すでにカープ案が提案されていたのですね。
今回の最優秀案に至るまでに変化した部分を考えてみました。
で、資料の10P目、 「現市民球場における施設配置及び建設スケジュール」の「現市民球場敷地に青少年センター等の用地を加えた範囲に建設するケース」については、わざわざ注釈で(カープ提案)とあります。
この(カープ提案)は、丁度環境デザイン研究所案のライトとレフトを入れ替えた案のようにも見えます。
ということは、球団は独自で理想の球場像を探って、ヤードでも現在地でも適合可能な案を研究していたということなのでしょうかね?(この時点では両翼までの長さは同じ、あと建設面積と延床面積は環境デザイン研究所案より一回り小さいのは、やはり現在地のサイズを考慮したものなのでしょうか?)
05年3月時点の会議で提案された仙田氏の提案は、12月の時点でのカープ案を、ヤード跡地向けに特化した(球場の向きをやや北向きに変更、2階席の配置、建設面積の拡大等)をしたものと言えるかも知れません。
ラッキゾーンシートらしきものが、この時既に登場しているようです。
今回の最優秀案では、更に球場の向きが北向きとなって、当初のカープ案の東向きから北東向きにまで変化してます(これはeタウンでのコメント通りですね)。
でアプローチプロムナートによって導かれる観客の流れが、直接3階レフト側コンコースへ導かれるようになったこと
球場外部に露出していたレストランが、球場内部のブルペンに隣接するように設置されたこと。
球場の向きが変わったことにより、レフトパフォーマンスシートの設置場所が内野席側に変更されていますね。
基本設計はカープ案をベースに仙田氏がやってしまい、あとの細かい部分(球場の向き、レストラン等の施設、歩道)については、その部下の方が手がけられた、ということでしょうか?
追加します。
よく見たら、最優秀案は、仙田氏の提案にはなかった球場北側線路沿いに、東西に沿った形で細長い駐車場がありますね。
この駐車場は、現在問題になっている踏切を跨ぐかっこうで大通りに誘導されるのかな?
ここの部分は土盛りで造るにしろ、球場と同時に造らないとまずいんじゃなかろうか?
まあ・・・なるようになることを祈ります(笑)
たびたびコメントさせていただき、失礼しました。
鯉魂さん、コメントどうもです。
コンペの環境デザイン案は、たぶんその前のコンペ(防衛庁談合で竹中以外が自動的に落ちた奴)の案を手直ししたものじゃないかと思います。前回のコンペの時は仙田氏はまだ教授職でかなり忙しかったはずですので、今回の当選案も、基本的な所から部下の方が行い、仙田氏はサポート役に回っていたのではないかと思います。
あと球場北の駐車場ですが、東側の球場に隣接している方はたぶん関係者用の駐車場で、これは90億の範囲内に収まっています。西側のものは、スロープと並行して作っていくことになると思います。駐車場は民設民営の予定なので、まず業者を決めなければならないのと、土地をどうするのか(民間に売却するのか、市が購入して土地を民間に貸し出すのか、あるいは公社持ちのまま民間に賃貸(要国の許可、特区申請時に却下されているのでたぶん無理)するのか)といった問題を解決しなければならないのですが。
駐車場の入口は、球場の北、西、東を囲んでいる道路沿いに作るのが安上がりですが、この道路はJRも使うので混雑がちょっと心配ですね。