KtJ Dragon

陳情第５４号「新広島市民球場の設計コンペから建設工事、開業までについて、地方自治法第１００条の調査委員会設置について」(リンク切れ URL: http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1000000000002/1348647870737/index.html)

まだこんなことやってるのか。陳情(つーか秋葉前市長に対する糾弾)の内容は、大体平野市議や田辺一球氏が今までにやってきた(ダメダメな)指摘+週刊ダイヤモンドのアレだ。週刊ダイヤモンドのアレについてはTwitter上での指摘も合わせてどうぞ。しかしこの手の糾弾が出る度に思うのだが、彼らはいつも「マツダスタジアムの原案を提案したのはカープ」っていう点を完全にスルーしているよね。

また、陳情にはこんなことも書いている。

平成１８年７月３日から７日までの間、ワシントンポスト紙記者による秋葉市長へのインタビュー取材が行われており、その時点で、アメリカの会社からの応募作品が市長の手元に届けられていた。応募提案された全２０作品の中で、記事にある「アメリカの会社からの大リーグスタイルの応募提案」は、ダン・ミース氏が関与した作品番号４（環境デザイン研究所）以外にはない。

北米のスタジアム設計最大手のHOK sportが応募してたことはスルーですかそうですか。ちなみにワシントンポストの記事とはおそらくこれだろう。「アメリカの会社からの大リーグスタイルの応募提案」は正確には下記の通り。

Among the hopefuls is a U.S. company proposing a Major League Baseball-style ballpark with office space, a hotel and a health club.

荒っぽく訳すと「まだ希望はいくつか残されている。その一つは、とある米国の会社による、オフィススペース、ホテル、ヘルスクラブを併設した大リーグスタイルのボールパークだ」てな感じ。環境デザイン研究所による応募案を見直してみたけど、スポーツクラブはあったけどホテルやオフィススペースについては記載が無かった。てか、これアラップ案のことじゃね？ アラップグループは一次選考で落選した(か辞退した)けど応募はしているし、アラップグループの中核はマイケル・ウィニック氏で、彼が設立したのが日本のNGOアーキテクチャーと、アメリカはオレゴン州ポートランドのArchitecture wだ(どっちもアラップ案にクレジットされている)。

(10/16追記)

上の説明だと「アラップってイギリスの会社じゃね?」と突っ込まれるような気がするので補足。イギリスの設計・エンジニアリング企業のオーブ・アラップと、新球場を提案したアラップスポーツは基本的には別の組織です。後者は、前者を含む7企業からなるチームで、デザインコンペの中心となったのはアメリカ人で前者のアラップには所属していないマイケル・ウィニック氏なのです(複合型スタジアムをつくろう、という話は投資銀行からまずウィニック氏に持ち込まれた話だし)。前者のアラップは、後者のグループの中ではどちらかというと裏方(マツダスタジアム=環境デザイン研究所案における金箱事務所のポジション)ポジなんですよね。ぶっちゃけ後者がアラップを名乗っているのは、チームの中で一番大きな会社で箔つけになる、という側面があるんだろうな、と。とはいえ、後者はなぜか自分らの実績として前者の実績を紹介してたり…

あと、ワシントンポスト記事の件のくだりはあくまでも記者の意見であって、この話が秋葉前市長からでたとは書いていないし示唆もされていない。

しかしこの陳情の何がアレかって、出世コースから外れたとはいえ局長級まで昇進できた人がこんなことしかできないという…

(追記終わり)

でもって、広島アスリート2006年8月号の41ページには、アラップスポーツ広島事務所からの発言としてこんなものがある。

この度のプランには、野球場の他、フラワーガーデンや噴水があり、野球博物館・ヘルスクラブ・医療センター・レストラン・カフェ・ホテル ・バスターミナル等をあらゆる施設に繋ぐことで、自然と人が集まり、年間を通じて活気のあふれる場所となるよう提案しています。中でも一番の目玉はアメリカ大リーグテキサス・レンジャーズの本拠地アメリクエストフィールドの成功例に基づいて、スタジアムの5・6階部分に賃貸オフィスを設けていることです。

やっぱワシントンポストはアラップ案のことを指しているんじゃないかなぁ。あとアメリクエストフィールド(今はレンジャーズ・ボールパークか)のオフィスって成功例なの? 当時調べたけど長いこと1フロア分まるまる募集し続けてたし、フォロワーとなるスタジアムも出てきてないようだし。

(10/14追記)

やっぱり田辺一球氏がとりあげていた。田辺氏によれば、

市民団体「広島・刷新会」を中心とした市民らのグループが19日、広島市議会に「百条委員会」の設置を求める提案書を提出した。今朝の地元紙などが報じた。

マツダスタジアムの地盤に必要なはずの杭が打たれていないため、球場の安全性に疑問がある、と早くから主張する市民の声に対して「問題はない」とする広島市との主張は平行線のまま今日に至っている。地方議会が行政事務に関して調査することができる百条委員会の設置によって「議事録提出」「関係者の証言」などを確実、かつ広範囲に渡って引き出すことができるため、市民団体などがすでに明らかにしてきた「安全性の問題」について、より深く切り込んだ状況にまでもっていくことが可能。

とのこと。ふむふむ。陳情をしたのは「広島・刷新会」なる団体か。陳情の内容からして、ダイヤモンド誌にタレコミを入れた木原康男氏が噛んでいる団体でしょうな。

てかさ、ダイヤモンドの記事を見る限り、彼らはマツダスタジアムの図面も構造計算書も持っているわけでしょ。だったら建築士に依頼して鑑定してもらって、少なくともその分野のプロが見れば「だめだこりゃ」ってのが分かる数字を突きつければいいじゃないか。なのにこういうやり方しかとれないってのは、むしろ「問題ない」と主張しているようなもん。それにさ、問題が事実なら、日本建築構造技術者協会会長の事務所が深刻な構造欠陥をやらかした、という大スキャンダルなわけだから、本当に問題があると確信しているならその旨全国紙にタレコめよ。