クッキーカッターの定義ってなんだろう

2chのスポーツ施設板の新球場スレで下記のような書き込みがあったので、自分なりに整理してみた。

598 :7列74番:2008/03/14(金) 18:36:14 ID:gRKpCntw
    クッキーカッターってよく見るけど何?

599 :7列74番:2008/03/14(金) 18:55:20 ID:twgkNLwH
    生地こねて
    平たくのばして
    で、金型でぽんぽんハート形とかに抜いて
    焼くと、クッキーができる。
    その金型がクッキー買ったー!よん。

    ママンが作ってくれた記憶は
    みんなあるはず。
    あとチェリーパイとか。

600 :7列74番:2008/03/14(金) 19:43:00 ID:tMI94btB
    >>598
    千葉マリンみたいな左右対称のスタジアムのこと

私的には、クッキーカッターというと、RFK StadiumAtlanta-Fulton County StadiumRiverfront StadiumJack Murphy StadiumThree Rivers StadiumVeterans Stadiumがガチ。Rogers Centreもクッキーカッターかな。そして、それ以外のフットボール兼用球場は野球よりだったり、フットボールよりだったりする。どこまでをクッキーカッターとするかは難しい。しかし、クッキーカッターはナショナルリーグが多いな。

以下、野球-フットボール兼用球場を、時代を追って分析してみる。なお、以下はあくまでも私の脳内による分類なんで。

1. そもそも野球用でもフットボール用でもなかったやつ

このパターンだと、Polo Groundsが代表選手。ポロ用のグラウンドを無理やり野球に使っていたという豪快な球場だ。その後、ドジャースが4シーズン使っていたLos Angeles Memorial Coliseum。これはオリンピックのメインスタジアム。どちらも長円形のグラウンドが特徴。

ポログラウンズは両翼のアッパーデッキがフェアグラウンドの上にあるという変形球場中の変形球場で、飛距離のあるライナーがホームランにならず、飛距離のないフライがホームランになるというクレイジーなデザイン(それとも、そんな打球がホームランにならないようローカルルールでサポートしていたのだろうか)。LAコロシアムは、右中間ががでたらめに深く、レフトスタンドがでたらめに近い(250フィート)。

もう一つあった。ブルージェイズの前本拠地、Exhibition Stadium。リンク先を見てもらえれば分かると思うが、元々メインスタンドが一つだけのオーバルコースの競馬場。ちなみにこのメインスタンドは戦前に2回火災で消失している。そして、1959年にバックスタンドが出来てCFLアルゴノーツのフランチャイズとなった。そして、1974年にバックスタンドを取り壊して、野球の内野スタンドを作った。

リンク先の写真を見てもらえれば分かると思うが、グラウンドが野球よりもかなり広いため、ライトからセンターにかけてフェンスを設置。ライト後方に仮設スタンドがある訳でもなく、ただフェンスがおいてあるだけで、フェンス後方も人工芝グラウンドだ。メインスタンドはレフトにあり、一番センター寄りの座席はホームからすさまじく遠い。加えて、フットボールにも対応できるよう、一塁側スタンドも遠くに延びている。野球用としてもフットボール用としても見づらそうだ。こんな球場を1988年まで使っていたトロント市民に敬意を表したい。

2. 野球場でフットボールもやっていたタイプ(1)

19世紀末〜20世紀初頭に作られた球場は、まだ長方形のグラウンド(一塁線、三塁線、レフト=センター、ライト=センターがそれぞれ4辺になる)が多かったので、これをそのままフットボールに使っていたタイプ。

3. 野球場でフットボールもやっていたタイプ(2)

1930年代〜50年代に出来た球場が中心。この頃多く建てられていた、スタンダードな野球場のグラウンドにフットボールのフィールドをそのまま配置したタイプ。余ったスペースに仮設スタンドを建てることもある。代表格はCleveland StadiumとボルチモアのMemorial Stadium。日本だと西宮、川崎、後楽園、東京ドームなんかが該当すると思う。ヤンキースタジアムも結構長い期間フットボール場だった。

4. 野球場でフットボールもやっていたタイプ(3)

上の(2)と比べると、ちょっとだけフットボールよりになって、野球場としては変形球場になっているもの。数が少ないものの、クセの強い球場が多い。

(A) Anaheim Stadium

出来た当初はまだ外野席が無く、また左右対称で、どちらかといえば上の(2)に該当する球場だった(カレッジフットで使用していた模様)。その後、AFL(今のAFC)のラムズのフランチャイズとして使用するため、大改装を実施。外野に二層のスタンドが付き、そしてグラウンドはライトが深く、レフトが浅いという変形球場となった。この変形グラウンドは、アナハイムがラムズに逃げられ、スタジアムがボールパークに再改装された後も変わらない。

(B) Candlestick Park

これもアナハイムと同様、出来た当初は普通の野球場だった。49ersがくることになったので拡張を行い、その結果、ライトスタンドがやたらと高い位置に来ることになった。

(C) 阪神甲子園球場

甲子園は当初からフットボール兼用として設計された球場である。今でも年に一回、大学選手権の甲子園ボウルの会場として使用されている。フットボール場として使用する際は、外野の芝生面にフットボールのグラウンドを配置し、外野スタンド、アルプススタンド、そして内野の土の部分に置いた仮設スタンドで観戦する。甲子園のあの特徴的な(右中間、左中間がやたらと深く、そこからポールに向けて急激に絞り込まれる)という形状も、フットボール場としてはナチュラルな形状とも言える。あの巨大な外野スタンドも、アメリカの「ボウル」型スタジアムを彷彿とさせる。

5. 「プレ」クッキーカッター球場

球場全体を丸く整形した、クッキーカッターの原型とも言える球場。ただし、外野スタンドを低くするなど、まだ野球への配慮が見られる。このタイプの球場もクッキーカッターと呼ばれることがある。

(A) Shea Stadium

出来た当初は外野席が無かった。横浜スタジアムと同様、半月状の可動席によって、野球とフットボールとをきりかえられる要になっているのはクッキーカッターと同様。当初はフットボール使用時には外野に仮設スタンドを置いていた。ただし、可動席が故障したのか、末期は可動席は野球と同じで、外野のポール付近に仮設スタンドを置いていた(メモリアルスタジアムと同じパターン)。外野スタンドが多層ではなく、また低い位置にあるのでクッキーカッターからは除外した。

(B) Busch Stadium II

シェイスタジアム同様、可動席を持っているし、外野も二層。ただし、外野一階席は(NFLカージナルスと併用だった頃から)低いため、クッキーカッターからは除外している。なお、NFLのカージナルスが出て行った後は、外野二階席を削ってスコアボードを配置している。

(C) McAfee Coliseum

元々は、千葉マリンのような内野はクッキーカッター風だけど外野は一層というデザインだった。フットボールのフィールドは、サイドラインと一三塁間が平行となるように内野側に詰め込まれるという変わった構成になっている。シェイスタジアムのような可動席は無く、フットボールのフィールドと干渉する部分のみがはずれるようになっている。

フットボール使用時は、かつては外野フィールドに仮設スタンドをおいただけ(野球の外野スタンドは使わない)だったが、レイダースを呼び戻す際に外野スタンドの大改装を行い、Mount Davisと呼ばれる巨大なフットボール用スタンドが出来た。現在はフットボール使用時は、このMount Davisに加え、その手前に仮設スタンドを設置することになる。このため、フットボール使用時は、片側がクッキーカッター風、反対側が現代的なフットボール場という何ともアンバランスなかたちとなっている。Mount Davisは恐ろしく高い位置にあり、ポール付近の比較的低い部分を除き、ポストシーズンでも無い限り開放されることはない。もっとも、現在のアスレチックスは客の不入りのため、内野側のアッパーデッキすら封鎖している訳だが。

(D) Astrodome

ご存知、世界初のドーム球場。オークランドと同様、開場時は外野スタンドは一層のみで野球場らしく低い位置にある。その後、外野二階席が追加されたが、一階席がかさ上げされることはなく、それなりに「野球場」だったと思う。と、いうことで、アストロドームはクッキーカッターに分類しなかった。

6. フットボールが主体の球場

基本はフットボール場であり、野球使用時は一部のスタンドを外して野球場のグラウンドを確保するもの。McAfee Coliseumも今はこっちのカテゴリに入るような気がする。座席は変な位置を向いているわ、外野スタンドは高いわで何かと(野球場としては)評判の悪い球場が多い。

その中で特筆すべきはデンバーのマイルハイスタジアム。MLB(ロッキーズ)よりもNFL(ブロンコス)の方が先に使っていたので「フットボール場を野球にも使えるようにしたもの」と思われがちだが、元々マイナーリーグの野球場兼フットボール場である。とはいえ、出来た頃は外野スタンドが大きめであるものの、グラウンド形状は野球場のソレだった。しかし、ブロンコスが来る際に大改装が行われ、二層の巨大な外野スタンドが「ごそっ」とスライドするというすさまじいギミックがついた。

7. まとめ

上で挙げたクッキーカッターの7球場に共通するポイントは以下の通り。

  1. 半月状の可動スタンドによって、野球仕様とフットボール使用が切り替わる。

  2. このため、外野スタンドがやたら高い位置にある。

  3. そして、アッパーデッキが外野センターまで伸びている。

  4. 左右対称のスタンド及びグラウンド

日本でこの条件を満たすのはナゴヤドームと大阪ドーム(どちらも可動席あり。使った形跡はほとんど見られないが)。フットボールの需要が大して高いとは言えない上、設計開始時はすでにアメリカではクッキーカッターが過去のものとなっているはずにも関わらず、クッキーカッターを作ってしまったというのは、返す返すも残念です。てか、広島も秋葉がひっくり返さなきゃクッキーカッター風の(二階席が外野まで伸びている)ドームにあっさり決まっていたんだろうな・・・・

横浜スタジアム、札幌ドーム、福岡ドームは(iii)以外を満たしている。一層とはいえやたらと高い外野スタンドは良いとは言えないので、これもクッキーカッターに準ずる存在だろう。千葉マリンは外野スタンドも低いし、クッキーカッターではないと思う。

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