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渡辺保裕のバンドッグス三部作を振り返る(3)火の球 FIRE BALLER

続いて第二作「火の球 FIRE BALLER」。

概要

本作は、入団三年目のシーズン中に無償トレードでお荷物チーム・東京バンドッグスに移籍した投手・鮎川千早を主人公とする。別冊漫画ゴラク(当時は1日、15日発売の月2回刊)に2004年10月から連載されていた。単行本は1巻のみで8話掲載。当時の2chのスレッドを見ると、第8話は12/1に発売された号に掲載されており、単行本未掲載のエピソードが5話あるようだ。

(2022/11/3追記)国会図書館で単行本未収録の5話を確認したのでその内容も追記する。(追記終わり)

前作とは異なり、野球選手としても、また精神的にも未熟な主人公がライバルとの対決を経て成長していく、というストーリーにしたかったのだろうと思うのだが、2巻が出るだけの話数になる前に打ち切りとなった。

(続きあり)


渡辺保裕のバンドッグス三部作を振り返る(2)熱球時代

ということで、まずは第一作「熱球時代」の紹介を。

概要

「熱球時代」は名門野球チーム「東京バンドッグス」の主砲・高千穂麦造(たかちほ・ばくぞう)を主人公とする全8話・単行本1巻の作品であり。各2話が前後編となっており、4つのエピソードから構成されている。

各エピソードには他チームのライバルや同僚選手にスポットライトが当てられ、主人公との関わりを介して彼らの活躍が描かれる。

なお、各エピソードは掲載順の時系列であるとは限らない(後述)。

(続きあり)


渡辺保裕のバンドッグス三部作を振り返る(1)はじめに

バンドッグス三部作とは、渡辺保裕氏による「漫画ゴラク等日本文芸社の雑誌に連載されていた、架空リーグの架空野球チーム『バンドッグス』に所属する野球選手を主人公とする一連の漫画作品」に対して私が勝手につけたタイトルである(無論今後4作目が登場する可能性は充分にある)。具体的には以下の三作が該当する。

  1. 熱球時代(2003〜2004年、別冊漫画ゴラク連載)

  2. 火の球(別冊漫画ゴラク2004年8月号〜12月号連載)

  3. 異世界三冠王(週刊漫画ゴラク2021年3月〜7月連載)

渡辺保裕氏と言えば芝居がかった癖のある演出が特徴であり、そのアクの強さが魅力の一つである。加えて、野球マンガにおいてはプロ野球ファンである氏による確かな知識と深い愛情もあいまって野球マニアには堪らない作品群となっている。氏による野球マンガの代表作はコミックバンチのローンチタイトルでもある「ワイルドリーガー」だが、こちらは実在のセ・リーグに主人公率いるオリジナル球団を登場させたものである(「野球狂の詩」「ドカベン スーパースターズ編」「やまだたいちの奇蹟」などと同様)。これに対して、本三部作はいずれも、NPBの代わりに架空リーグがある世界観となっている。

(続きあり)



Note

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