【専スタ@広島】各候補地を比較してみよう

とりあえず今候補に挙がっている旧市民球場跡地、宇品と、私が密かに期待している商工センター(西部埋立第五公園)を、クラブと行政ポジから比較して見ようと思った次第。なお、ここでいう「行政ポジ」とは「行政が合理的に動くならこうするよね」っていうのを私なりに想像したものであり、実際の広島市がこう考えているという訳ではないことを理解されたし。

1.クラブと行政の都合

クラブにとってスタジアムとは「収入を得るための器」なわけで、欲しいのは、

  1. 交通至便な立地にあって集客がしやすいスタジアム

    1. より好ましくは繁華街・ビジネス街や中心駅の側にあって、「ふり」の客を引き込みやすいスタジアム

  2. ピッチに近い、高額な席を配置することができる球技場、好ましくはサッカー専用スタジアム

    1. より好ましくは、より高いレベルのサービスを提供でき、より高額の入場料収入が期待できる設備(例えばマツダスタジアムのパーティフロアのような)

  3. クラブ人気の上昇に伴ってキャパを拡張する余地を残したスタジアム

  4. 球場使用料の安いスタジアム

ということになるだろう。A、BとDとが矛盾してしまうので全てを兼ね備えたスタジアムは困難だが。一方、行政にとってはまちづくりの一環なので、

  1. 旧市民球場跡地には、紙屋町エリアへの集客に寄与するものが欲しい

  2. スタジアムを作るなら、スタジアムの集客を有効に生かせるようなところに

  3. もちろん行政負担はできるだけ安く

という感じではないだろうか。

2.旧市民球場跡地

旧市民球場跡地は、「都心エリアにある」という長所を有する一方、「高さ制限がある」「南北を地下構造物に挟まれていて南北方向の寸法が短い」「国有地なので地代が発生する」という短所を有する。

クラブにとって

クラブにとってみれば、条件1、1.1、2を満たしている一方、3、4にはやや難がある。まず旧市民球場でスタジアムを建築可能な土地のサイズは、隣接する建造物(商工会議所とかPL教会とか青少年センターとか)を残すなら、南北160メートルの東西145メートルってところだ(東西方向は入場前の観客のためにそれぞれ幅10メートル程度の待機エリアを確保すべきなので)。これと高さ制限を考慮すると、「25000人級なら余裕(1/14追記:計算してみたけどイングランドタイプだとギリギリで25000人をクリアできるレベルだった)、30000人級は厳しい、40000人級は無理」ってことになる。もちろん当面は25000人級で充分だろうがスタジアムは何十年というスパンで使っていくものだから、将来「25000人級じゃ全然足りない」っていうようなことになっても何もできないというのは結構大きいのではないだろうか。一試合あたりの動員数では「試合数の多い野球<試合数の少ないフットボール」になるのが当然で、野球が30000人級なんだからサッカーはそれ以上のサイズがそう遠くない将来には必要になる、という推測はさほど荒唐無稽ともいえないだろう。

無論、隣接する建造物を解体すれば東西方向を広くとることは可能だが、高さ制限があるためあまり多くは期待できないだろう(それと高さ制限があるからメイン、バックスタンドの奥行きを大きくとれてもアッパーデッキの傾斜を緩くせざるを得ない、っていう問題もある)。ピッチを掘り下げ式にすることも考えられるが、風通しが悪くなり芝の育成に問題が生じるので避けるべきだと思う(ピッチ脇で扇風機ぶん回している大分とかを見ちゃうと特に)。

次、地代。基本的に地代は51[円/平方メートル・商業利用日数]。で、地代の対象となる面積は(カープが払っていた国有地地代からの逆算から推定すると)建築面積じゃなくて敷地面積。なんで、先ほどの「160メートルx145メートル」の敷地いっぱいにスタジアムを作る場合、一年あたり2366万4000円。これを大きいと見るか少ないと見るか。

行政にとって

25000人級のスタジアムを跡地に建てた場合、サンフレッチェの試合での集客数の期待値は、25000×0.7×20試合で35万人といったところか。これ以外で集客が期待できそうなのは高校サッカーと天皇杯の数日分くらいだろうか。やはり、サッカー場だけでは足りない、と思う。ついでに書くと、試合開始前と終了直後に集中的に発生する20000人前後の客って周辺商業エリアではうまく吸収できないような気がする(つまり、周囲の商業施設に与える影響は集客数ほど大きくはならないだろう、ということ)。

てことで、前も書いたけど「敷居の低い多目的イベントスペース」とサッカー場を組み合わせるというのは行政にとって十分acceptableなんじゃないかと思うわけだ。で、大事なのが「敷居が低い」ってこと。利用料を安価に抑えるのはもちろんのことで、それに加えて「一番いい場所に作る(つまり紙屋町交差点に一番近い跡地の南東エリア)」と「外から中の様子が分かる(たまたま通りかかった人を引っ張り込むことができる)」というのが重要。この辺をクリアできるなら行政としても反対する理由は無い、と思う。

隣接する建物を解体してスタジアムの収容人員を上げる、という点については行政としては消極的にならざるを得ないだろう。老朽化が進んで建て替えが必要な青少年センターはともかく、移転する理由の無いPL教会については移転費用を丸抱えする必要があるかもしれないし、商工会議所も行政負担無しで移転してくれるかは微妙、というか行政にタカる気満々に見えるのは私だけだろうか。

3.宇品

宇品地区はとにかく土地があるのが強み。メッセ・コンベンションセンター用地の80000平方メートル、みなと公園の48000平方メートル、広島競輪場が67000平方メートル(ただしうち46000平方メートルが国有地)(ソースはリンク切れ URL: http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1340785068831/activesqr/common/other/4febe225002.pdf)。これに加えて、将来的にはメセコン用地の南側にさらに広い土地(20~30万平方メートル)が埋め立てられる(はず)。

港湾エリアなので道路事情も悪くは無い。広島駅からみなと公園まで6キロだから歩いていけないこともない。自転車ならもっと楽。欠点は軌道系交通機関が広電宇品線しかないこと。

クラブにとって

駐車場込みで40000人級を建てるのに十分な土地が確保されており、道路事情も悪くは無い。少なくとも現在の広域公園よりははるかにマシなのは間違い無い。将来的には軌道系交通網も整備されるだろう。ただ、現状で軌道系交通が弱いのは間違いなくネック。また、サンフレッチェは「これから集客をあげていこう」という状態であり、(今はまだ)Jリーグにあまり興味を持っていない人を引っ張り込むには弱い。「次の次」のスタジアム用地としては間違いなく最良なのだが。

あと、海岸近くなので千葉マリンスタジアムなんかと同様、塩害対策でコストがかさむ可能性も否定できない。

行政にとって

ぶっちゃけ、使える土地の広さ(と中心への近さ)から、まちづくりとしてスタジアム抜きでも魅力。住宅地として整備していかなきゃいけないエリアだと思う。で、まちづくりを行うに当たって、核コンテンツとしてサッカー場を、というのは結構自然な考えかと。

4.商工センター

西部第五埋立公園は約40000平方メートルの土地。市有地であるが都市公園なので、スタジアムを建てるためには、別途都市公園用の土地を近くに用意して都市公園から外れる必要がある。ちょうど東側に空いた土地(西区扇二丁目)があるので、そっちを都市公園として整備し、代わりに第五埋立公園にスタジアムを建ててみては、という考え。西区扇二丁目の土地についてはやや古いが外部監査結果報告書が参考になるかと。一応市有地で、公園化しても問題なさそうな気もするが。

クラブにとって

西部埋立公園、以前は30000人級が上限、って書いたけど、例えば隣接する広島サンプラザの屋上を待機スペースとして利用するとかすれば40000人級も可能じゃないか、という気がする。そうすると、クラブにとっては、

  • JR新井口駅、広電商工センター駅に隣接しており、交通の便は良好(条件1を満たす)

  • アルパークに隣接しており、1.1の条件も(都心ほどではないにせよそれなりに)満たす

  • 将来的には40000人への拡張も期待できる

  • 土地の制約が少ないので多彩なサービスを提供可能なスタジアムが可能(2.1の条件を満たす)

  • 広島サンプラザと連携させることで↑のサービスをより優れたものとすることが可能

    • 例えばサンプラザとの連絡通路を設けて、パーティフロア用の料理をサンプラザから持ち込む、あるいはスタジアムを利用したバンケットを可能にする。

と何気に申し分の無い環境。欠点は現状の西部埋立第五公園を移設するためのコストがかかること。

行政にとって

逆に、行政にとっては商工センターはメリットが少ない。アルパークはまずまず成功している商業施設なので、ここにサッカーというコンテンツを追加するメリットが薄い。作るなら別のところに作るべき、というのが自然。

5.まとめ

行政にとっては、「跡地でも宇品でもどっちでもOK。ただし、跡地に作るなら市の方針を優先させること。商工センターはクラブが費用の大半を(スタジアム使用料として間接的に)負担するつもりで無い限りNG」という感じかな。

後はクラブの考え方次第。将来の拡張性(とスタジアムの使い勝手)を犠牲にしてでも当面の人気向上を優先させるなら跡地、逆なら宇品ということになる。商工センターは跡地、宇品双方の長所を兼ね備えているが、クラブの負担は大きくなるだろう。

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