Microsoftの販促企画に成り下がった「公的個人認証サービス」 ?
- 公開日: 2004/02/18(水) 08:03[JST]
- 更新日: 2019/10/14(月) 13:53[JST]
柔らかいデジタル(6)〜Microsoftの販促企画に成り下がった「公的個人認証サービス」
著者は日経MAC元編集長の林伸夫氏。日経MACや日経パソコンでは結構いいコラムを書いていたように記憶しているが、このコラムはどうかと思う。
もし、あなたがLinuxマシンやMacを日常使っているなら、税金の確定申告、パスポート取得などはネットを通じてはできないということになる。
(中略)
誰もがあまねくサービスを受けられる電子政府を実現するためには、まずプラットフォーム非依存の道を探らなくてはならない。それをしないため、プラットフォーム個別に対応するためだけに巨額の国費を投入する羽目になる。
インターネットを積極的に使っている層にはMacユーザーが多い。そもそもMacユーザーは1994年ごろからインターネットを積極的に使い始めたため、サイト構築などにかかわるユーザーも多い。そうしたプロユーザーや、300万人と言われる一般ユーザーを切り捨ててしまう、総務省のこの行き方にはユーザーを大切にする視点が欠けている。
(中略)
一日も早く「公的個人認証サービスにはWindowsパソコンが必要」との基本的考え方から脱してもらわなければ、総務省はWinodwsパソコンの販促活動を行っているとのそしりを免れなくなるだろう。
(中略)
多くのユーザーが障壁を感じない柔らかなデジタルが電子政府にも浸透していくよう祈るばかりだ。
VirtualPCを入れるなり、DualBootにするなり、Windowsマシンを1台調達すればすむ話ではないか。じゃんぱらのサイトを見ると、Windows98SE付きのノートが40000円台前半。これにLANカードやケーブル等を追加しても45000円程度。「障壁」など最大でもこの程度のものでしかない。
MacユーザもLinuxユーザも、その多くはユーザ自身の意志によって使用するOSを選択したはずだ。いわば好きこのんでマイノリティになることを選んだわけだ。そして、マイノリティには、多額の出費や労力を強いられるものだ。自らの意志によってマイノリティになることを選んだ以上、その辺の不便さは覚悟して当然だと思うのだが。にもかかわらず、マジョリティと同等の権利を主張するというのは、正当とは思えない。単なるワガママだ。(マイノリティにはマイノリティなりのメリットがあるわけで、それを享受しながらマジョリティゆえの権利までも要求する、というのはいかがなものか)
また、こういうことは政府・行政ではなくAppleに言うべきではないか? 「このようなサービスが使えないのはMacユーザにとって損失であり、Appleは開発資金を提供して公的個人認証サービス用のソフトを提供すべきである」という主張ならまだ理解できる。と、いうより、かつての林氏なら間違いなくそういう主張をしていたと思う。
とはいえ、今の行政のやり方でよいとも思わない。「Windows以外」を選択せざるを得ない人もいるからだ。例えば視覚障碍者。かれらは「DOS + 音声読み上げソフト」を端末として使用していることが多い。また、公的個人認証サービスによって彼らが得られるメリットは健常者の比ではない。MacユーザやLinuxユーザなどを放置しても何ら問題はないが、彼らに対するサポートを放棄するのはどう考えても問題だ。
そこで、僕としては、「公的個人認証サービス用の独立したハードウェア」を提案したい。イメージとしてはOpenBlocksにカードリーダをくっつけたようなもの。操作はシリアルに端末をつなぐか、SSHやTelnetでログインして行う。ユーザーインターフェースはもちろんCUI。
これなら「シリアルポートがあって、漢字が使える通信ソフトが走る端末」か「EthernetとTCP/IPとTelnetが使える端末」のどっちかがあれば良い。適当なフロントエンドをかませば大抵のユーザインターフェースを実現することが出来るだろう。ヘタにMacやLinuxに対応させるくらいなら、こっちの方がよっぽどいいと思うのだが。