日下公人

最近、日下公人氏が日経BPのサイトに 現実主義に目覚めよ、日本! 〜グローバル・スタンダードの罠に陥るな!〜[archive]なるコラムを書いていることが判明した。

うわぁ、ネタの宝庫だ(笑)。あいかわらず飛ばしているなぁ。

日下公人氏に対する印象は、数年前に書いたコラムの時とあんまり変わらない。(因みに、このコラムは、日下氏のWW2関連の著作を処分した後に書いたのでWebで情報が得られる経済関連のネタに限定しているのだけど、本当は軍事関係の著作にツッコミを入れたかった)

日下公人氏のスタイルは一段論法。原因を明示して、それに対するものすごく対処療法的な対案を加える、というのが氏の著作に共通した手法だ。原因とその対案が明示されているので、ものすごく分かり易い。あと、知識の幅がすごく広いので、その分野に明るくない人が読むと、「こんな事実があったのか!」と驚嘆してしまい、対案の部分まで信頼してしまう、という傾向があるようだ。

それから、基本的には長谷川慶太郎なんかといっしょで、「日本はまだまだすばらしい、日本の将来はバラ色だ」という流れに持っていくことが多いので、氏の著作に元気づけられる人は多いようだ。

その一方で、日下氏の知識の深さはすごく浅い。例えばWW2関連に付いていえば、ほぼ入門書や仮想戦記(それも谷恒生とか霧島那智とかの)レベル。なんで、氏の出す結論は、その分野では有名な反証があるものだったり、ちょっと調べれば成立しないことがすぐ分かる類のものがすごく多い。山形浩生氏にも「大学戦史研究会のコンパ談義」などと一刀両断されている。

要するに、日下氏の著作は「もうちょっとその分野に詳しい人なら真っ先に除外してしまうような論理展開」が「検証されずにだだ洩れ」している、という状態にある。もちろん、素人ならではの鋭い視点、ってのもあるとは思うんだけど、ビジネス書としてはどうよ。

したがって、Amazon などの書評では、氏の評価は「絶賛」と「ダメ出し」の両極端の傾向を示すことになる。

ただ、氏の著作の全部が丸でダメ、というわけじゃなくて、氏の出したいろいろな事例に対してきちんと検証してふるいにかけまくり、その後で残ったものは、たぶんかなりユニークかつ有効なアイディア(つまり、素人ならではの斬新な視点、ってやつ)である。尤も、それ以外のものはただユニークなだけでてんで使いものにならないわけだが。

なんで、氏の著作を読むのであればきちんと検証することをお薦めします。今はインターネットでいろいろ簡単に調べられるしね。氏の文書は、「で、ほんとのところはどうなのよ」ってのを追っかけて行くためのとっかかりとしては良いかもしれない。くれぐれも鵜呑みは厳禁です。

コメント(5)

  • 投稿者: KtJ
  • 投稿日時: 2006/01/29(日) 15:33[JST]

一例。

↑のところで、保育所任せにするから日本の少子化が進んだ、ということが書いてあって、その対比としてドイツがあげられているんだけど。

↑ここを見ると、ドイツはヨーロッパのなかでも少子化問題が深刻で、逆に託児施設が充実しているノルウェーでは出生率の低下に歯止めがかかっている。

(2020/1/2追記: 当時はコメントでhttp://〜を弾いていたので変なコメントになっている。その時参照したテキストが何なのかは失念しているが、2007年2月14日の記事でもドイツの少子化が深刻であり一方北欧が優れていることが述べられている[http://www.newsdigest.de/newsde/archive/featured/64-650/]。

  • 投稿者: KtJ
  • 投稿日時: 2006/01/31(火) 06:40[JST]

"日下公人"でぐぐるとうちのサイトが2番目に出て来るな。
何なんだか(笑)

  • 投稿者: ・・・は?
  • 投稿日時: 2006/09/04(月) 05:59[JST]

もう少し具体例を挙げよう
自分が書いた本が売れないから
こんなページを作ったのか
それとも誰かの差し金かな?
戦後アメリカに洗脳された典型的な日本人といったところか

  • 投稿者: KtJ
  • 投稿日時: 2006/09/05(火) 06:34[JST]

いや私文筆業じゃないですし。

  • 投稿者: ・・・は?
  • 投稿日時: 2006/09/05(火) 11:11[JST]

わかりました。しばらくロムってます



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