跡地にサッカースタジアムを実現するためには

「宇品vs跡地」ではなく「跡地vs建たない」

中国新聞によれば[archive]、市長・知事・商工会議所の三者会談で「サッカースタジアムは宇品みなと公園が優位」としつつ、宇品にも交通面での難があるため判断は先送りにしたとのこと。

これは額面どおり受け取るべきじゃない。前市長時代から市は「むしろ排除したいものをプッシュして批判を集め、取り下げる口実を確保する」というやり方を得意としている。実際問題として、宇品にサッカースタジアムを作るメリットは(市にとっても)低い。3万人級なのでコストはかかるし公共交通も弱いから集客性も低い。また、周囲の商業施設の集積も高いとはいえない。郊外型なら、まだ(マリーナホップのある)西飛行場跡地の方が有益だ。

「今宇品に作るくらいなら建てない」というのが行政サイドの本音じゃないだろうか。無論、交通網が整備されれば(例えば広電宇品線のLRT化)別だが、ならその時に作ればいいだけの話。つまり、「宇品っていったけど問題が多いし反対意見も沢山でたからやめる」ってとこまでが行政サイドのシナリオ。

でもこの時点でまだ跡地を外さずに残しているってことは「跡地にスタジアムを作るための突破口はまだあるよ」っていう広島市からのメッセージ。「市にとって有益なスタジアム案なら検討する」ってこと。

なぜ市は跡地スタジアムに難色を示しているか

これは簡単。市民球場跡地は一等地なので市としては有効に使いたいが、サンフレッチェが希望する3万人級スタジアムだと、「プロサッカー以外」(アマチュア球技含む)を排除してしまうから。

サンフレッチェは「多目的・複合型スタジアム」を提案しているが、市側が想定している用途を充足するものではない。ていうか、彼らのいう「多目的・複合」って「プロサッカーで使わない、使い勝手のよくないエリアに他の施設をいれてみました、というレベルで「サッカー専用と呼ばれない」為の数合わせでしかなく、「プロサッカー以外のコンテンツ」の主催者や利用者の都合はあまり考慮されていないと感じた。

じゃあどんなスタジアムならいいのか

こんなところ

  • 十分な大きさ(B1F~3Fで延床面積2万平方メートル程度)の公共屋外施設(青少年センターの建て替え含)や屋外イベント広場(3千~1万平方メートル程度)と共存可能なサイズのスタジアム

  • スタジアムは上記公共施設の(歩行者の起点である紙屋町交差点から見て)奥側に配置すること

  • アマチュア球技での使い勝手に配慮する(不慣れな少人数のスタッフで数百人~数千人の観客をさばけるようなスタンド配置)

そうなると、スタジアム規模は20000人台前半くらいにせざるを得ない。高さ制限もあるんでその面でもこの規模が妥当。

あと、メセコン施設なんかは基本的に宿泊施設とセットじゃないと意味がないので、(リーガロイヤルに近い)中央公園芝生広場あたりに建てるのがベストだとおもうけど、ここに展示面積3000平方メートル程度の展示場を作った場合…えーと、都市公園法上使える建築面積が(青少年センター含めて)30000平方メートル弱で、屋外公共施設が5000平方メートル、メセコンで5000平方メートル使うとして…うん、2万人級スタジアムなら十分余裕があるかな。

ここまで割り切れば、行政側にとっても「スタジアムを跡地に建てるメリット>デメリット」になるんで前向きに動いてくれると思うんだ。規模落とせば建築費も安くなるし都市公園法の補助金も出るし。

2万人級だと代表戦ができない、ていう懸念があるけど、3万人だろうが4万人だろうが男子A代表もオリンピック代表も困難(どっちもJFAのドル箱だから今後は新国立への集約が進むはず)。逆にユースや女子なら2万人級でオーケー(クラス1(20000~40000人級必須のはずの女子選手権決勝を大宮でやってたりするし))。なんで、立地のよさと適度なキャパをアピールしてユースや女子の国際試合を積極的に誘致する、というのも一案じゃないかな。

サポやサッカーファンがやるべきこと

宇品disとかは不毛、というか行政サイドの計画どおり。この問題のボトルネックは「クラブが『跡地に3万人級』を希望している」こと。なんで、今やるべきなのは「跡地にスタジアムを作る為にキャパを2万人級に落とそう」とクラブに訴えることじゃないかと。「一等地に二万人級スタジアム」でもサンフレッチェが抱えている経営上の課題は十分解決できるだろうし(てか「一等地に3万人級じゃないと経営できない」としたらそれはどっか経営がおかしいんじゃないかと)。

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