サンケイと中スポ(^ω^;)

広島新球場を取り上げるのはありがたいが、事実誤認はいかがなものか。

まずはサンケイ。2008年7月8日付けの「【明解要解】広島の新球場、来季オープン 「日本の球場狭い…」は今や昔?`」(リンク切れ URL: http://sankei.jp.msn.com/sports/baseball/080708/bbl0807080753000-n1.htm )という記事。公認野球規則1.04を思いっきりはしょって引用しているため、変な記事になっている。

プロ、アマ共通の公式ルールを定めた公認野球規則では、球場の広さについて「両翼が97・534メートル、中堅は121・918メートル以上あることが優先して望まれる」と記載。さらに付記として「プロ野球の球場は両翼99・058メートル、中堅121・918メートル必要」とある。

ではかつての後楽園(両翼87・8メートル、中堅120・8メートル)や大阪(同91・5メートル、115・8メートル)といった球場は“規則違反”だったのだろうか。「いえ、絶対にその広さでという強制ではありません」とプロ野球の野球規則委員、丸山博さん。

日本の球場は狭い土地を使い、県や市といった公共団体が建てる場合が多い。「営利が主目的でないので、『この大きさにしなさい』ときつくいえなかったのでしょう」。結果、昭和30年代の球界には「プロの球場でも両翼は300フィート(91・4メートル)あればOK」という“暗黙の了解”ができていたそうだ。

両翼97.5m(318ft)、中堅121.9m(400ft)はあくまでも推奨であって必須要件ではない。また、プロ球場の両翼99m(325ft)、中堅400ftは、「1958年6月1日以降にプロ野球球団が作った」という前置きがある。2007年の公認野球規則[archive]にはこうある。

【付記】

(a) 1958年6月1日以降プロフェッショナル野球のクラブが建造する競技場は、本塁より左右両翼のフェンス、スタンドまたは左右両翼のフェアグラウンド上にあるプレイの妨げになる施設までの最短距離は325ft(99.058m)、中堅のフェンスまでの最短距離は400ft(121.918m)を必要とする。

(b) 1958年6月1日以降現在の競技場を改造するにあたっては、本塁より左右両翼及び中堅のフェンスまでの距離を、前記の最短距離以下に短縮することはできない。

後楽園、大阪球場は共に1957年以前にできた球場だし、外野250ftは確保している。丸山氏の言葉を借りるまでもなく、一応、ルール上はセーフではあるのだ。強制している(とはいえ、罰則が無いからザルもいい所なのだが)のは付記(a)と(b)。ちなみに付記(b)、翻訳元のOfficial Baseball Rulesも読んでみたけど、プロの本拠地であるか否かを問わず適用されるものと解釈できる。

No existing playing field shall be remodeled after June 1, 1958, in such manner as to reduce the distance from home base to the foul poles and to the center field fence below the minimum specified in paragraph (a) above.

これを踏まえると、プロ使用球場で規則違反と言えるものを思いつくまま挙げると以下のものになる。なお、付記(a)については、日本の場合球団が作った球場って一軍レベルではほぼ皆無(芝浦球場と後楽園くらい?)なので、「球団親会社またはその関連会社がプロの本拠地として作った球場」まで拡大解釈している。

  • 東京スタジアム(当時のオリオンズオーナーによる建設)…付記(a)違反

  • 西武球場及び西武第二球場…付記(a)違反

  • 西宮球場のラッキーゾーン…付記(b)違反(Youtubeの1958年夏の高校野球の動画(リンク切れ URL: http://jp.youtube.com/watch?v=N08p12EmF2o) を見る限り、ラッキーゾーンは1959年以降)

  • 神宮球場のラッキーゾーン…付記(b)違反(1962年)

  • 阪神鳴尾浜球場…付記(a)違反(二軍といえどもプロではあるので。とはいえ、入場料無料なのでセーフにしてもよいかも)

  • ロッテ浦和球場…付記(a)違反(鳴尾浜に同じ)

  • ジャイアンツ球場…付記(a)違反(ここは巨人軍が作った球場だし、入場料もとっているので拡大解釈しなくてもガチでアウト)

甲子園と藤井寺のラッキーゾーンは58年より前なのでセーフ。横浜スタジアムはホエールズも大洋漁業も建設には関与していないはずなので多分セーフ。現在の二軍本拠地のうち、鎌ヶ谷、由宇、ナゴヤはプロ規格をクリア。北神戸も多分OK。追浜、山形と雁ノ巣はプロ規格外だが公営なので無問題。ヤクルト戸田球場はどうだろう。今はきっちりプロ規格だが、多分できた当時は満たしていないような気がする。開場時から規格を満たしていたならヤクルト本社は神。

次に中スポ。2008年7月11日付けの「<中スポ コンフィデンシャル> 日本一の天然芝球場へ 広島新球場」(リンク切れ URL: http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/favorite/list/CK2008071102000084.html)

◆交通アクセス 新球場の最も課題とされるのが、球場までの交通アクセス。JR広島駅から東側に約800メートル。大型店舗と市場の間を抜けて、大きな通りを横断、2車線の道をたどっていくと、約15分はかかる。現在の広島市民球場が広島バスセンターと隣接しているほか、街の中心街のど真ん中にあるのと大違い。

まずは広島駅から球場までの道路拡張、歩道の整備から着手しなければならない。新球場周辺も道幅が狭く、交通アクセスをしっかりして開業しなければ、大きな交通渋滞を招くのは必至だ。

なぜわざわざ大洲通りを通る。徒歩なら普通線路沿いの道でしょう。ひょっとして車での移動なのかな? でもそれなら15分もかからないだろうし。あと、歩道も車道も整備計画がすすんでいますんで。それに、原則球場内の駐車場は500台しかないんでそもそも渋滞に影響を与えるほどではない、とは思いますが。

2002年にはドームを前提にした複合型球場建設に向けて日米企業体「チーム・エンティアム」と合意したものの、翌03年には事業化を断念。

エンティアムは、ドームを前提としているわけじゃないんだが。

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