「やる夫で学ぶJリーグの旅 スタジアム編」について

やる夫で学ぶJリーグの旅はJリーグ各チームの魅力を非常に面白く紹介しているスレで、私なんかもこのスレを読んだ結果平塚まで(伊勢原から7キロほど歩いて)試合を見に行っちゃったりしたり、鳥栖のテルコ問題を知ったのもこのスレから。ちなみに、このスレの作者さん=このスレをまとめている「泳ぐやる夫シアター」管理人さん、とのこと。

さて、表題の「スタジアム編」。うん、サポーター心理として専スタが欲しい、ってのはよく分かる。でも、今回元ネタが(たぶん)ネット上の(専用スタジアム推進を希望している人達の)主張なんで、ちとバイアスかかってるかな、と思った次第。とりあえず自称スタヲタの私が調べてたことをベースに「こんな切り口もあるよ」てのを書いてみようかと。作者さんも「異論・反論・議論など、どうぞご自由になさってください」と書いていることだし。

長崎の場合

実は長崎って諫早改装しなくても国体は開催できるんだよね。開会式はビッグN使えばいいし、陸上競技用の一種スタも既にあるし(かきどまり)。TOTO助成金の増額(Jリーグ本拠地の建設、改装には30億出す(ただし他の補助金と併用しちゃダメ)ってやつ。調べたけど2011年からだよね)がアナウンスされる前に陸スタ建て直しが決まったりとアンラッキーだった面もある。

しかし、「国体の開会式用に球技場をつくろう」という形には持っていけなかったんだろうか。「サッカー場」だとちと狭いけど、「フル規格のラグビーが可能な球技場」ならグラウンド面積も野球場とだいたい同じだし。陸連的には陸上競技場を解体して球技場、てのは気にくわないから横槍が入ったのかもしれないが。時間がとれたら県議会の議事録を追っかけてみよう。

  • 標準的な400メートル、9レーントラックのトラック及びトラック内側の面積: 15000平方メートル強

  • 両翼100メートル、中堅122メートルの野球場のグラウンド面積(ファウルグランド込み): 12000平方メートル強

  • JFA推奨且つフルサイズのラグビー可能な球技場の最小グラウンド面積: 13090平方メートル(154x85メートル)

  • JFA推奨のサッカー場の最小グラウンド面積: 10625平方メートル(125x85メートル)

→長崎県議会の議事録を追っかけてみたけど、平成20年の2月定例会で高比良末男県議が「開閉会式は地理的にも諫早が適切だけど、一種のかきどまりがあるのに県立競技場を改修する必要あるの?」と疑問を呈しているくらいだった。これに対する行政側の回答は「県立競技場は老朽化していて改修が必要だし、かきどまりは現状の第1種を満たしていないから」というもの。どうやら平成19年の11月26日に行われた国民体育大会長崎県準備委員会[archive]の第1回常任委員会ってやつでさっくり決まったらしい。

でもこの会議の直前にやってた秋田国体ってかきどまりといい勝負の秋田県立中央公園陸上競技場で開閉会式も陸上競技もやってるんだよね。キャパは22000人だけど屋根はかきどまりより小さいし夜間照明施設もないっぽいし。

陸上兼用スタvsサッカー専スタ for ビギナー

こないだ平塚(メインスタンド自由席)、大宮(バックスタンド指定席)と立て続けに観戦したのだが、どちらかといえば(兼用スタジアムである)平塚の方が見やすかった。Jリーグの観戦って「サッカーを観る」「選手を観る」「応援を楽しむ」の三要素があると思うんだけど、(選手の名前とかプレースタイルとかチームの戦術とかよく知らない)ビギナーである私の場合、どうしても「サッカーを観る」が主体となってしまうので、ピッチに近すぎる席だった大宮より多少離れていて俯瞰できる席だった平塚の方が好感触だった、ということなんだと思う。大宮の場合、(敷居が低い)メイン・バック席の奥行きが狭くて俯瞰できる席が少なく、なおかつ座席数が少ないのがネックのように思えた。

一方、応援を気に入ってリピーターになるビギナーもいるわけで、その場合は専用スタジアムの方が間違いなくいい。(声出しする人の多い)ゴール裏が近い、ってのは何だかんだいって大きい。

(リピーター獲得を)意識して設計された専スタ>意識して設計された兼用スタ≧意識せずに設計された専スタ>意識せずに設計された兼用スタ

ってのが実際の所じゃないかと思った。

  • 安くて(当日券で2000円台)見やすいメイン・バックスタンド後方席がある

  • 人の集まる場所に近接している(繁華街や中心駅から徒歩圏内、郊外ならショッピングモールのすぐそば)

  • (ゴール裏が近い)球技場ならモアベター

  • 屋根がかかっていればさらによし

ってところがリピーター確保の為には重要だと思うんだ。

兼用競技場と野球場の満足度の話

とある大学教授が、観戦経験のない学生を 兼用スタジアムで行われるJリーグの試合と 野球場で行われるプロ野球の試合、双方に送り出して どちらが満足を得られるか、という実験を行った

結果は野球の方が好感触で、また行きたいと思わせるものだった なんて話があったらしい

正直、真偽はともかくとして、この結果には納得せざるを得ないだろ……

これは広島の話で、どこかで以前読んだことがある。検索すれば出てくるんじゃないかなー… あ、見つかった。ブログ『人見秀司の「サッカーボールをめぐる冒険」』に書いてあった。元々は2011年11月30日の日経新聞のスポーツ欄に掲載された話で、教授というのは前浦和レッズ社長で今は広島経済大学で教授をやっている藤口光紀氏[archive]。以下引用。

まず、土曜日にサンフレッチェ広島の本拠地、広島ビッグアーチでサッカーを観戦。「やっぱりスタジアムでの観戦はいいですねえ。雰囲気がいい」という反応があった。翌日曜日、今度はプロ野球の広島カープの試合にマツダスタジアムへ出かけると、学生たちは開口一番、こう口にしたという。「あっ、ここは近いですねえ」(中略)学生たちは「こっちのほうがいいや」と話したという。

おそらく(チケット価格的に)ビッグアーチバックスタンド自由席とマツダスタジアムの内野二階席。兼用スタジアムがどうかというより、そもそもマツダスタジアムと比べたら分が悪い。ビッグアーチも悪い感触ってわけじゃないし。

マツダスタジアムって基本的な座席配置とかは(興行者である)カープが考えてて、「どうすれば観客の満足度をあげられるか(=どうすればお客さんに気持ちよくより高いチケットを買ってもらうか)」ってことに関しては日本屈指。んでもって「結構見やすいのになぜか客が入らない」二階席を一番安く設定している。

正直、相手が旧市民球場(でチケットが一番安い外野席)だったら別の結果になっていた可能性も否定でき無い。

陸上競技の話

これまでも幾度も専用スタジアム建設計画が 陸連の横槍によって、兼用スタジアムへと変更されてしまったわぁ

専用スタジアムの新設に陸連がいちゃもんつけたことってあったっけ? 「既設の陸上競技場を専スタに改修する計画」について横槍を入れてきたことはあったけど(例・広島)。

「陸上関係者から見ても一種競技場はいらない」という話だけどどうなんだろうね。私自身陸上競技者ではないからはっきりとは分からないけど、端からみてると陸上競技の場合、「中高の競技会に望ましい競技場」「大学・一般の競技会に望ましい競技場」「練習に望ましい競技場」の要件がそれぞれ違ってて、全部満たそうとすると必然的に一種競技場になってしまう、という部分もあるんじゃないだろうか。

  • 中高の競技会

    • 参加者がすごく多いのでアップの為の補助競技場必須

    • 選手の数に対して引率者が少ないし、陸上は競技場内のいろんな箇所で行われるので、まとまって動きやすいようにある程度スタンド(芝生席でOK)のスペースに余裕がある方が好ましいように見える

  • 大学・一般の競技会

    • 記録が出しやすい、設備の整ったトラックとフィールド

    • 競技に集中できるよう、外部から遮断された環境(典型的には芝生席を含むスタンド)

  • 競技会一般

    • 競技会を進行する為の設備=建物。メインスタンドと兼用させるのが合理的

    • 大会役員とかが見てるので、メインスタンドの中央部には屋根があることが好ましいだろう

  • 練習

    • 安価に利用可能

    • 雨天に利用できる屋内練習施設→メインスタンドの下に作るのが合理的

    • 投擲練習場

政令市か県庁所在地に一種(あるいは一種に近い二種+補助競技場)、それ以外の地区には二種に近い三種を適度に分散、というのが合理的な気がする。神奈川の場合、小田原の競技場がもうちょっと設備がよければ、平塚には無くてもいい気がする(藤沢にも陸上競技場があるんで)。

なお、「一種競技場⊆J1仕様の国体スタ」であることを理解されたし。具体的にいうと、メインスタンド以外全部芝生席でも一種なんで。私の主張はあくまでも「一種を含む陸上競技場とJ1仕様の球技場を別々に用意すべき」なんで。

(追記)ぐぐったら秦野の陸上(専用)競技場の記事がでてきた。ふむふむ、トラックがクレーだと霜で冬場に使えないからウレタン舗装の方が望ましい、と。

国体の話

悲しいかな自治体にとって、「もっとも行政負担の少ないJ1仕様スタジアムは国体スタ」となっていたのも事実。何でかというと、都市公園法の補助金の存在があるから。

都市公園法ってのは、すごく大雑把に説明すると「都市に公園は必要だからつくってね。お金は国が補助するよ。でも一度作ったら(代替の公園を用意しない限り)廃止はNGね」って法律。都市公園を設置する場合、土地取得費の三分の一、競技場を含む上物の建築費の半分の補助金がつく。で、建物については制限があって、スポーツ施設の場合「プロ用はNG」ってのがある。もっとも、実際はプロが主に使うスタジアムは都市公園内にバンバン建ってはいる。横浜スタジアムや旧広島市民球場がそう。ただ、「アマチュアで使わない部分」については補助金は下りないようだ(広島市が野球の新球場を検討した際、旧市民球場の建て替えを行った場合の国からの補助金は5億円と見積もっていたらしい)。

で、国体の開閉会式の会場は「3万人(実際は2万人でも黙認されているようだが)入るスタンドが要件となっているアマチュア競技場」なんで、キャパ3万以内の国体スタは半額補助の対象となる。

2011年までは、クラブなりその親会社なりが建設費を負担しない場合、

  • 100億円の兼用国体スタ→半額補助で自治体は50億負担

  • 70億円の専スタ→数億補助で自治体は60億以上負担。状況によってはこれに陸スタのコストが加算される

Toto助成金が使えるようになったので状況は変わってくるとは思うんだけどね。理想をいえば助成金は30億じゃなくて50億くらいまで増やすべきかと思うが(それくらいになってようやく「専スタと陸上競技場別々に建てたほうがいいよね」という状況になる)。でも現状、助成金は120億/年程度だからスタジアム関連にこれ以上増額するのは厳しいか。

国体開閉会式会場は間違いなく「行政の負担で誰も得しない競技場の量産」になっているのは間違いないんで、国体はそろそろ首都圏と京阪神との交互開催くらいに変えたほうがいいような気がする。「地方のスポーツ環境を整える」ってのも国体の役割ではあったけど、よく考えたら高校総体もあるから地方で国体やらなくていいよね。

アメフト競技場の話

ただアメフトって、日本だと東京ドームとかで試合やってるからな ひょっとしたら人工芝の方がやりやすかったりするのか?

だとしたら天然芝押しのJリーグとは利害かち合うから難しいかもな

>>1はアメフトあんま詳しくないんで、詳しい人、意見あったら頼む

アメフトはすごくおもしろいスポーツだと思うんで、(試合のある関東か関西の人は)ぜひ見に行ってほしい。関西だと神戸の王子スタジアムか大阪(万博競技場の近く)のエキスポフラッシュフィールドで偶にキンチョウスタジアム。関東なら東京(味の素スタジアムの隣)のアミノバイタルフィールドか大井第二球技場。川崎球場もあるけどこっちは現在スタンド建て替え中なのであまりおすすめできない。ただ、アメフトは戦力差がまんま試合内容に反映されやすいんで(なんでNFLは徹底的に戦力均衡を図っている)、始めてみるんだったら実力が近いチーム同士の対戦の方がいいかな。

アメフトって基本的にボールをどこまで進めるか、っていうのがポイントになるスポーツなので、ラインが見やすい人工芝のほうが見やすい。選手にとって負担が少ないのは天然芝だと思うけど、関東だと一会場で一日2~3試合行うから、人工芝じゃないと運用上厳しい。

アメフトは、特別な試合でない限り首都圏や京阪神ですら5000人級で十分だったりする(ただし対戦チームのファン同士がメインスタンドとバックスタンドに分かれて座るんで、両チームのファンがごた混ぜで観戦するラグビーとは違ってメイン・バックスタンド双方が必要)。で、5000人級の競技場は5億くらいで作れるので、首都圏や京阪神だと協会がお金出してアメフト専用競技場作ったほうが得、ってのがある(エキスポフラッシュフィールドがそうだし、アミノバイタルフィールドもアメフト専用化する際に費用負担している。多分王子スタジアムもそうじゃないかな)。一方地方だとアメフトの試合自体が少ないから(比較的多い広島県でも大学3チーム、クラブ3チーム、高校2チーム)、既存の球技場や人工芝化した高校のグランドで十分、という気がする。

4万入る競技場がJクラブにとって負担となるように、1万オーバーの球技場はJ以外のチームにとって負担となりうる、てのも理解されたし。なでしこで大正義のINAC神戸ですら数千人級の自前スタを計画してたりするわけだし。

結局のところ、J仕様のスタジアムが必要なら、他競技を当てにせずJリーグとクラブが頑張るしかないような気もする。

広島の話

戦後はなんというか、左の人たちの勢力が強くてさあ で、なんていうかこう……あれクマ

広島市は基本保守地盤だと思うがなあ。市議会も自民系が過半だし。社民党出身の前市長が3期努めたのが異例中の異例なわけで。てか(スポーツ含め)文化施設を欲しがるのは保守も革新も関係ないと思う。

正直「旧市民球場跡地を文化・教養施設+イベント広場に」という市側の考えも理解できるんだよね。というかむしろ経済効果を考えるとこれが一番だと思うんだ。それに、旧市民球場跡地は高さ規制(25メートル、南側は20メートル)があったり南北に地下構造物があったりして、「現在のクラブの動員数に見合っていてかつ新規顧客の開拓ができるいいスタジアム」を作れるかは結構、というかかなり厳しいという事情もあったりする。ちなみに長野で計画されている15000人級スタジアムの高さが25.5メートル[archive]

個人的には、文化・教養施設やイベント広場と共存できる「必要最低限の設備の20000人級の球技場」を作って、クラブの売上が順調に伸びたら宇品(広島港。埋立地で土地があるのでスタジアム候補地の一つ)に「いい(付帯設備が豊富で高い客単価が期待できる、マツダスタジアムのサッカー版みたいな)スタジアム」を作るのが最良だと思うけどな。後はお金の問題。次善策はいきなり宇品に建設。

あと、マツダスタジアムの紆余曲折ってのはどっちかというといろいろと不運が重なっただけで、むしろ行政はちゃんとやった方だと思う。前市長と対立してた保守派陣営が色々ネガキャンやってたのでそれしか見てないとおかしなことやっとるように見えてしまうけど。以下、私が知ってる限りの経緯(一部想像あり)。

1995年ごろ

  • 国鉄清算事業団「広島駅前の貨物ヤード跡地買わない?」

  • 経済界・市議会主流派「ドーム球場作ろうぜ」

  • 広島市「でもドーム高いしゴニョゴニョ」

1997年ごろ

  • 国鉄清算事業団「早く結論出してよ。今年度まで買わないのなら民間に売るよ」

  • 広島市・議会「しゃーないから土地開発公社経由で買うわ」←結局1998年3月に土地購入。

2000~2001年

  • 前市長「ドームとか高すぎだろ。白紙だ白紙」

  • 経済界「いやドーム作れよ。金は出さんけど」

  • カープ「これはチャンス。スタジアム検討するわ」

  • カープ(と電通西日本と鹿島建設)「市長さん、商業施設併設したボールパークとかどう? 市の負担なしで作れるよ」

  • 前市長「おっよさそうだな」

  • アメリカ人その1(当時nbbjというアメリカの設計会社にいたダン・ミース氏。セーフコやさいたまスーパーアリーナの設計に関わっていた)「新シイスタジアムを作ルトイウ話を聞キマシタ。私ニモチャンスクダサイ」

  • 前市長「やりたければ、どうぞ」

  • アメリカ人その1「デキマシタ。模型ヲドーゾ」

  • 前市長「ドーム高すぎってんのになんで開閉式球場提案するんだよこいつ。この案はオクラ入りやね」(こう考えてたかは私の想像。模型を受け取ったことは事実で、この案を公開しなかったのも事実。カープ案の方は公開している)

  • 広島市「てことでカープ案がいいと思うんだけど」

  • 経済界・議会「やっぱりドームを」

  • 前市長「(ちっ、うっせーな)じゃあコンペやればいいんだろ?」

2002~2003年

  • アメリカ人その1「三菱重工サン、開閉式スタジアムデイキマショウ」←状況証拠しかないけど、たぶん彼は三菱重工の開閉式スタジアム案にからんでいる。ミース氏と三菱重工はミルウォーキーのミラーパーク建設で組んでるし(ミラーパークの設計がnbbjで開閉式屋根の施工が三菱重工)

  • 広島市「カープ案が最良です。てことで契約しますね」(ぶっちゃけこの結果になるのは分かりきっていて時間の無駄だったけど、コンペやんないと納得しない人もいるんだよね残念ながら)

  • アメリカ人その2(新球場完成後の主事業者になるはずだったサイモン・プロパティ・グループの人)「駐車場ト駐車場ニ車ヲ誘導スル専用道路ツクッテクダサイ。アトビジネスガウマクイクカワカラナイノデ50億円ホド保証金ダシテクダサイ。モウカッタラ返シマスカラ」

  • 経済界「やっぱり屋根を」

  • 前市長「『市の負担が無い』が選考理由なのにありえねーわ。でも一応契約しちゃったし。そうだ、未だに屋根とか言ってる経済界を利用してグダグダにしよう」(前市長がこう考えてたかはあくまでも想像)

  • 前市長「屋根が欲しいという気持ちは分かったけど市もお金は無いんで民間で何とかしてくれない?」

  • 経済界「ケンケンガクガク」

  • アメリカ人その2「メインプロジェクトダッタ阿倍野再開発ガポシャッタノデ日本カラ撤退スルワ」

  • 前市長「ラッキー」

2004~2005年

  • 前市長「てことで、お金を出さずにスタジアムを作るのは難しいので、それなりに行政が負担してヤード跡地にスタジアムを作ることにしましょう」

  • 駅前商店街、カープ「賛成」

  • 中区商店街「反対」

  • 前市長と対立している人たち「現地建て替えしろ」

  • 前市長「(ちっ、うっせーな)じゃあ有識者集めて検討するわ(行政からするとヤード跡地以外ありえないんだが、中区の人とか生活かかってるから折れなさそう。さてどうやってヤード跡地にもっていくか)」

  • 広島市「検討の結果、現地建て替えが最良となりました」

  • 中区商店街「おー」

  • 広島市「でも現地建て替えが難しいのならヤード跡地にします」

  • 広島市「外部の会社(日建設計)に調査してもらった結果、現地建て替えは厳しいことが分かったのでやっぱりヤード跡地にします」

  • 中区商店街「」

  • 前市長・カープ「計画どおりだね(ニッコリ)」

2006年

  • 前市長「てことでコンペするよ。建設込みの契約なんで設計者はゼネコンと組んでね」

  • カープ・鹿島建設「おk」

  • 環境デザイン研究所「カープさんとは縁もあるし設計はぜひうちに」

  • アメリカ人その3(名古屋で設計事務所をやっていたマイケル・ウィニック氏。アメリカ人だけど日本の一級建築士。もちろん日本語ペラペラ)「外資金融機関から広島新球場の投資案件がでたんで大成建設と組んで参入するよ」

  • 広島市「竹中工務店以外のスーパーゼネコンが談合で指名停止となりました。したがって竹中工務店が最優秀となります」

  • カープ「いやこんなスタジアムじゃ集客できないんで白紙に」

  • アメリカ人その3「(談合発覚時に自主的に辞退)うちの案が一番だから。これからのスタジアムはオフィスビルとかホテルとか複合さセルのがトレンド。球場のみとか時代遅れ」(いわゆるアラップ案)

  • 広島市「主テナントが竹中案はイヤだと言ってるんで設計のみのコンペを行います」

2007年

  • アメリカ人その1「カープサン、私ニモ設計手伝ワセテクダサイ。見タ目ノデザインハ得意デス」

  • カープ「まー去年スタジアムの希望要件言っちゃったし、他の案に足元掬われるかもしれんし念のためこいつも入れるか」

  • 広島市「コンペの結果、環境デザイン研究所案に決まりました」

  • カープ「やったぜ」

  • 前市長と対立している人たち「談合だ談合だ談合だ」

  • 広島市「あ、予算が限られているんで余計な装飾ははずすよ」

  • 環境デザイン研究所・カープ「おk」

  • アメリカ人その1「」←自分が設計した箇所がほとんど外された

じゃあどうすればいいのさ

結局のところ根本的な問題は、

  • スタジアムの建設費を(例えば使用料という形で)十分に負担できるJクラブが少ない

  • 多くの場合、Jクラブの為のスタジアム建設に費用の大半を負担するだけの意義・経済的価値を自治体が見出せていない

って所に尽きるんじゃないかと。ただ沿革見るかぎり京都は謎だ。民間65億負担の横大路公園でなぜ決まらなかったのか。「交通アクセスが問題」っ言ってるけど京阪の駅から約1キロって別に悪くないよね。京都競馬さばいているわけだし。

国内の事例を見た限りでは「新都心、副都心、あるいはニュータウンの核コンテンツの一環としてスタジアムを建てる」というのが数少ない「自治体が合理的な判断を下して、費用自治体負担でサッカースタジアムを立てられる」パターンだと思う。ユアスタやフクアリがこのパターン。でもこれって裏を返せば、ニュータウンを持てるクラスの人口の都市(政令市クラス?)しかスタジアムを持てないということになるわけで(あとは10億単位でポンと金を出していただけるスポンサー様がいるところ)。

あと、箱物利権がサッカー場に向かった場合とか、サッカーに都合よく自治体が暴走する場合とかも専スタができる可能性が出てくるけど、それって住民的にはあんまりいいことじゃないよね。

あとは、アメリカみたいに住民の理解を得て増税(或いは他の行政サービスのコスト削減)、かねぇ。例えば世帯数8万の自治体で月100円の負担増にして、これで市債の返済をするようにした場合、20億ほど確保できる(年利2.5%の場合)。

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Note

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