渡辺保裕のバンドッグス三部作を振り返る(1)はじめに

バンドッグス三部作とは、渡辺保裕氏による「漫画ゴラク等日本文芸社の雑誌に連載されていた、架空リーグの架空野球チーム『バンドッグス』に所属する野球選手を主人公とする一連の漫画作品」に対して私が勝手につけたタイトルである(無論今後4作目が登場する可能性は充分にある)。具体的には以下の三作が該当する。

  1. 熱球時代(2003〜2004年、別冊漫画ゴラク連載)

  2. 火の球(別冊漫画ゴラク2004年8月号〜12月号連載)

  3. 異世界三冠王(週刊漫画ゴラク2021年3月〜7月連載)

渡辺保裕氏と言えば芝居がかった癖のある演出が特徴であり、そのアクの強さが魅力の一つである。加えて、野球マンガにおいてはプロ野球ファンである氏による確かな知識と深い愛情もあいまって野球マニアには堪らない作品群となっている。氏による野球マンガの代表作はコミックバンチのローンチタイトルでもある「ワイルドリーガー」だが、こちらは実在のセ・リーグに主人公率いるオリジナル球団を登場させたものである(「野球狂の詩」「ドカベン スーパースターズ編」「やまだたいちの奇蹟」などと同様)。これに対して、本三部作はいずれも、NPBの代わりに架空リーグがある世界観となっている。

本三部作のいずれにも「バンドッグス(Bandogs:番犬の意)」というプロ野球チームが登場し、前述の通り各作の主人公はこのチームに所属している。各作には共通して登場するキャラクターはいるものの、それぞれが一種のパラレルワールドの関係にあり、チームの特徴やリーグ構成等は異なる。なお、「異世界三冠王」の作中には前二作の広告が登場しており、前二作は三作目におけるフィクション世界でもある。

ということで、これから数記事に渡って各作品の紹介と、世界観の違いの説明をしていこうと思った次第。

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