渡辺保裕のバンドッグス三部作を振り返る(3)火の球 FIRE BALLER

続いて第二作「火の球 FIRE BALLER」。

概要

本作は、入団三年目のシーズン中に無償トレードでお荷物チーム・東京バンドッグスに移籍した投手・鮎川千早を主人公とする。別冊漫画ゴラク(当時は1日、15日発売の月2回刊)に2004年10月から連載されていた。単行本は1巻のみで8話掲載。当時の2chのスレッドを見ると、第8話は12/1に発売された号に掲載されており、単行本未掲載のエピソードが5話あるようだ。

(2022/11/3追記)国会図書館で単行本未収録の5話を確認したのでその内容も追記する。(追記終わり)

前作とは異なり、野球選手としても、また精神的にも未熟な主人公がライバルとの対決を経て成長していく、というストーリーにしたかったのだろうと思うのだが、2巻が出るだけの話数になる前に打ち切りとなった。

リーグ構成

本作においてバンドッグスが所属するのは「ニッポンリーグ」というリーグ(第2話より)。また、リーグ会長とコミッショナーが別々にいることから複数リーグ構成である。リーグに何チームあるかは単行本には掲載されておらず、5チームが登場する。2軍の(一軍でも同リーグの対戦カードの)試合でDHを使用していないことから、セリーグと同様DHなしと思われる。(2022/11/3追記: 単行本未収録の第12話で鮎川に代打を出されるシーンがあるのでDHなしのリーグで間違いない)

東京バンドッグス

東京を本拠地とする球団。前作「熱球時代」では巨人風の名門球団だったが、今作では関根監督時代のヤクルトを彷彿とさせる弱小球団となっている。その割に本拠地スタジアムは内野スタンドが少なくとも3層あり、三層目スタンドの下にはテラス席[1]も用意されている。見た感じドジャースタジアムに似ているが、違う部分[2]もある。二軍の本拠地及び合宿所は高田馬場にあるバンドッグス球場。

(2022/11/3追記)単行本未収録の最終話により詳細なスタジアムの絵(外壁およびホームからバックスクリーンを見たもの)があった。モデルはニューヨーク・メッツの旧本拠地のシェイ・スタジアムだ。(追記終わり)

チームカラーは赤っぽいが詳細不明。帽子は色地でロゴはひし形を組み合わせたような形の"T"。ホームユニフォームの中央にはドジャース風の筆記体で"Bandogs"のロゴ。ビジターは上のみ色付きで中央に"TOKYO"のロゴ。

東京キングダム

バンドッグスと同様東京を本拠地とする、自他ともに球界の盟主にふさわしいと認められる名門球団。主人公が3年目の途中まで所属していた。盟主らしくどのような相手でも全力を尽くして戦うのがモットー。

本拠地は旧(1976-2008シーズン)ヤンキースタジアム[3]によく似た銀座スタヂアム。ユニフォームは色は不明だが、ホーム・ビジター共にヤンキースに似る。つまり、ホームユニフォームはピンストライプで胸に王冠のロゴ。ビジターは全身淡色(おそらくグレー)で胸に白抜きで"TOKYO"のロゴ。帽子は濃色地に白で王冠ロゴ。

西日本エンターティナーズ

前作に続き登場。ユニフォームが描かれているのは単行本中には1コマ(対バンドッグス戦)のみであり、ビジターユニフォームは遠目だが全身淡色。(2022/11/3追記)帽子は前作同様濃色地に白で筆記体のE(εに近い書体)。(追記終わり)

本拠地スタジアムは登場せず。(2022/11/3追記)単行本未収録の第12話に本拠地「福岡エンターテインメント球場」が登場。モデルはアトランタ・ブレーブスの旧本拠地、ターナーフィールド。(追記終わり)

京都スターズ

単行本には名前のみ登場。単行本未掲載のエピソードではバンドッグス戦が描かれていた模様。(2022/11/3追記)単行本未収録に本拠地京都球場が登場。モデルは熱球時代と同様ピッツバーグのPNCパーク。(追記終わり)

土佐パシフィックウォリアーズ

高知県(桂浜が登場するのでおそらく高知市)に本拠地を置く球団。伝馬船を漕ぐことで鍛え上げられた足腰が強みで雨天の試合を得意とする。そのため台風でもホームゲームは試合が強行され、本拠地では非常に強い。

本拠地スタジアムは名称不明だが、同じく強風で知られる千葉マリンスタジアム風。ホームユニフォームは全身白で左胸にPwのロゴ、帽子・ヘルメットは前面のみ白、それ以外は濃色のクラウンライターライオンズ風で、ロゴはユニフォームと同様Pw。

主要登場人物

鮎川 千早(あゆかわ ちはや)

主人公。右投左打の投手で現在の背番号は45。21歳。元々東京キングダムにテスト入団(ドラフト8位)の選手だったが3年目のシーズン中5月に無償トレードでバンドッグスに移籍。

バッターに向かってライズしていくような速球が持ち味だが技術的にも精神的にも未熟。築地育ちでキングダムファンだった。

高千穂 麦造(たかちほ ばくぞう)

背番号8。東京バンドッグスの主砲・三塁手で右バッター。キャプテンでもある。前作同様リーグを代表する右バッターだが今作では「モチベーションの低い弱小チームにあってただ一人気を吐き続ける」ポジション。

別当 晴美

バンドッグス監督。背番号30。53歳。

桐野 治康

東京キングダムの主砲。左投左打の強打者で、5月末の時点で本塁打20本(高千穂は16本)。28歳で背番号10。

是川 豊丸(これかわ とよまる)

前作ではライバルチームの正捕手として登場したが今作では2軍の若手捕手。22歳で背番号13、右投右打。二軍では3番を打つ。

洲崎 銀蔵

バンドッグス2軍監督。80歳で背番号は91。試合中もベンチで飲酒している。

江神 攻(えがみ せめる)

東京キングダムのサード、背番号1。21歳。右投右打。キングダムの次期主砲として期待されている。鮎川とは同期でおそらくライバルとして想定されていたと思われる。アメリカ留学から帰国して二軍で鮎川と対戦し、ホームランを打つ。

言動から鮎川をライバル視しているように見える。

駒井 年男

週刊誌「野球評論」を発行する(有)野球評論の記者。35歳。鮎川に期待している。

寺師 龍馬

土佐パシフィックウォリアーズのプレーイングマネジャー。背番号30。32歳。土佐弁で話す。左打で試合には代打として出場。(2022/11/3追記)土佐観光ビューホテルの創業者でもある。(追記終わり)

関 武蔵

背番号41。31歳。バンドッグスのリリーフエース。前作でも登場したが、左のワンポイントっぽかった前作に対して今作ではリリーフエース。左投げかは不明(少なくとも単行本の段階では)。

(以下2022/11/3追記)

東丸 豊作

バンドッグススカウト。28歳。元選手で高千穂と同期。3年前に鮎川を入団させようとしていたが、キングダムファンである本人の意思もあり指名は見送られた。(単行本未登場)

中込 義行

東京キングダムスカウト。49歳。親会社である東証一部上場企業からの出向組。(単行本未登場)

難波 恭介

背番号25。38歳。東京バンドッグスの控え野手。2年前までは今牛若の異名を持つ走攻守揃った名選手だったが、アキレス腱断裂により無気力なプレーを繰り返していた。孝介という10歳の息子がいる。息子共々関西弁。故障前のポジションは二遊間でおそらくショート[5]。(単行本未登場)

神宮寺 正純

東京キングダムオーナー。鮎川が桐野に危険球を投じた際は「我が軍がまともに相手にするような選手なの?」と発言していたが、最終話では鮎川の成長を見て責任者を更迭し鮎川の金銭トレードを画策する。

単行本未収録のエピソードの概要

第九話「選手とスカウト」

東丸を中心としたエピソード。バンドッグスの高知遠征(第8話)と同時期、東丸は高知で有力選手・竹原に会うが色よい態度ではなかった。東丸は、新人スカウトだった3年前に担当していた鮎川に竹原を重ね、当時の鮎川のことを思い出していた。

試合後に鮎川(と是川)を食事に誘う東丸。その席で偶然竹原を連れた中込と出会い、鮎川と中込の口論となる。中込に侮辱され殴りかかろうとする鮎川だったが、先に中込を殴り啖呵を切ったのは東丸だった。

第十話「狂犬の牙」

口論の末、鮎川をけしかける中込。ホテル裏に20個並んだ石灯籠の穴(ちょうどストライクゾーン大の穴が開いている)にボールを投げて実力を示してみろとのことだ。先に投げた竹原は見事ボールを投げ込んでみせる。続いて鮎川は全力投球。ボールは石灯籠に当たるがこれを全て破壊し、勢いの残るボール後方の寺師の銅像を崖下の海に落としてしまう(その海ではちょうど寺師以下パシフィックウォリアーズの選手が特訓をしていた)。

この投球をみた中込は改心し、感動した竹原も栄養費と書かれた封筒[6]を中込に返す。

第十一話「地に落ちた今牛若」

難波を中心としたエピソード。京都スターズ戦で代打を出されるも無気力な見逃し三振に終わる難波。試合後京都球場の選手食堂で飲んだくれるなど荒れた生活を送っていた。翌日の試合も見逃し三振でバンドッグスは連敗。鮎川と孝介は口論となり、剛速球を球場の壁にぶつけることで孝介を黙らせる。これを見て目が覚めた難波は屋内練習場に顔を出す。

第十二話「父ちゃんのシバキ」

難波がベンチから外れたバンドッグスは西日本エンターティナーズを三タテした。次節は再び京都球場での京都戦。先に京都入りしバッティングセンターで練習をする難波。そのバッティングスタイルはこれまでとはうって変わり全力でのフルスイングだった。

その夜、鮎川(と是川)を五条大橋に呼び出し一球対決を要求する難波。結果は空振りで、こっそり見ていた孝介も落胆するが、そのスイングは風圧が鮎川に届くほどだった。

翌日の京都戦、先発鮎川は8回まで無得点に抑えるも味方打線も沈黙し0-0。9回表に鮎川に代わり打席に立ったのは難波。難波はフルスイングでみごと勝ち越しホームランを放ち、孝介とも和解する。

最終話「プロ野球の星」

大活躍を続ける鮎川。無償トレードで放出した東京キングダム側ではオーナーの命で鮎川の金銭トレードでの再獲得を画策する。バンドッグスGMも乗り気だったが現場[7]は反発。話を聞いた駒井は「野球評論」誌で反対キャンペーンを開始する。

鮎川自身はトレードの話に対し「オレは負け犬にはならねぇ」と啖呵を切る。これは移籍宣言ではなく残留宣言だった。その後キングスを迎えたホームゲームで打席に江神を迎えたところで物語は終わる。

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Note

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