渡辺保裕のバンドッグス三部作を振り返る(3)火の球 FIRE BALLER

続いて第二作「火の球 FIRE BALLER」。

概要

本作は、入団三年目のシーズン中に無償トレードでお荷物チーム・東京バンドッグスに移籍した投手・鮎川千早を主人公とする。別冊漫画ゴラク(当時は1日、15日発売の月2回刊)に2004年10月から連載されていた。単行本は1巻のみで8話掲載。当時の2chのスレッドを見ると、第8話は12/1に発売された号に掲載されており、単行本未掲載のエピソードが5話あるようだ。

前作とは異なり、野球選手としても、また精神的にも未熟な主人公がライバルとの対決を経て成長していく、というストーリーにしたかったのだろうと思うのだが、2巻が出るだけの話数になる前に打ち切りとなった。

リーグ構成

本作においてバンドッグスが所属するのは「ニッポンリーグ」というリーグ(第2話より)。また、リーグ会長とコミッショナーが別々にいることから複数リーグ構成である。リーグに何チームあるかは単行本には掲載されておらず、5チームが登場する。2軍の(一軍でも同リーグの対戦カードの)試合でDHを使用していないことから、セリーグと同様DHなしと思われる。

東京バンドッグス

東京を本拠地とする球団。前作「熱球時代」では巨人風の名門球団だったが、今作では関根監督時代のヤクルトを彷彿とさせる弱小球団となっている。その割に本拠地スタジアムは内野スタンドが少なくとも3層あり、三層目スタンドの下にはテラス席1も用意されている。見た感じドジャースタジアムに似ているが、違う部分2もある。二軍の本拠地及び合宿所は高田馬場にあるバンドッグス球場。

チームカラーは赤っぽいが詳細不明。帽子は色地でロゴはひし形を組み合わせたような形の"T"。ホームユニフォームの中央にはドジャース風の筆記体で"Bandogs"のロゴ。ビジターは上のみ色付きで中央に"TOKYO"のロゴ。

東京キングダム

バンドッグスと同様東京を本拠地とする、自他ともに球界の盟主にふさわしいと認められる名門球団。主人公が3年目の途中まで所属していた。盟主らしくどのような相手でも全力を尽くして戦うのがモットー。

本拠地は旧(1976-2008シーズン)ヤンキースタジアム3によく似た銀座スタヂアム。ユニフォームは色は不明だが、ホーム・ビジター共にヤンキースに似る。つまり、ホームユニフォームはピンストライプで胸に王冠のロゴ。ビジターは全身淡色(おそらくグレー)で胸に白抜きで"TOKYO"のロゴ。帽子は濃色地に白で王冠ロゴ。

西日本エンターティナーズ

前作に続き登場。ユニフォームが描かれているのは単行本中には1コマ(対バンドッグス戦)のみであり、ビジターユニフォームは遠目だが全身淡色。

本拠地スタジアムは登場せず。

京都スターズ

単行本には名前のみ登場。単行本未掲載のエピソードではバンドッグス戦が描かれていた模様。

土佐パシフィックウォリアーズ

高知県(桂浜が登場するのでおそらく高知市)に本拠地を置く球団。伝馬船を漕ぐことで鍛え上げられた足腰が強みで雨天の試合を得意とする。そのため台風でもホームゲームは試合が強行され、本拠地では非常に強い。

本拠地スタジアムは名称不明だが、同じく強風で知られる千葉マリンスタジアム風。ホームユニフォームは全身白で左胸にPwのロゴ、帽子・ヘルメットは前面のみ白、それ以外は濃色のクラウンライターライオンズ風で、ロゴはユニフォームと同様Pw。

1

アッパーデッキスタンドの下に設けられた数列程度の座席。アッパーデッキが屋根となるため雨風をしのげる(ガラス窓になっていることも)上、座席にテーブルがついていたりミニバーやビュッフェスタイルの飲食設備が整っていたりするVIP席であることが多い。

2

本作に登場する球場は1層目又は2層目と思われるスタンドに手すりがついているが、ドジャースタジアムで手すりが付くのは3層目から。また、ドジャースタジアムは1〜2オープンコンコースでありスタンドには出入り口は無いが本作ではそれらしき開口が描かれている。

3

旧ヤンキースタジアムは1923年開場だが、1974-75の2シーズンをかけて建て替えに近い全面改装 4を行っている。この時のヤンキースタジアムを2代目(Yankee Stadium II)とするか、1973年までのスタジアムと一体とみなし初代ヤンキースタジアムとするかは文献によってまちまち。

4

例えば、改装前のアッパーデッキはフィールドにより近い位置にあり、前縁をスタンド1層目から伸びる柱で支持されていた(つまり、スタンド1層目には見切れ席があった)。また、フェンウェイパークやリグレー・フィールドと同様、アッパーデッキの裏側は壁で塞がれており球場の外からスタンドの裏側を見ることはできない。

主要登場人物

鮎川 千早(あゆかわ ちはや)

主人公。右投左打の投手で現在の背番号は45。21歳。元々東京キングダムにテスト入団(ドラフト8位)の選手だったが3年目のシーズン中5月に無償トレードでバンドッグスに移籍。

バッターに向かってライズしていくような速球が持ち味だが技術的にも精神的にも未熟。築地育ちでキングダムファンだった。

高千穂 麦造(たかちほ ばくぞう)

背番号8。東京バンドッグスの主砲・三塁手で右バッター。キャプテンでもある。前作同様リーグを代表する右バッターだが今作では「モチベーションの低い弱小チームにあってただ一人気を吐き続ける」ポジション。

別当 晴美

バンドッグス監督。背番号30。53歳。

桐野 治康

東京キングダムの主砲。左投左打の強打者で、5月末の時点で本塁打20本(高千穂は16本)。28歳で背番号10。

是川 豊丸(これかわ とよまる)

前作ではライバルチームの正捕手として登場したが今作では2軍の若手捕手。22歳で背番号13、右投右打。二軍では3番を打つ。

洲崎 銀蔵

バンドッグス2軍監督。80歳で背番号は91。試合中もベンチで飲酒している。

江神 攻(えがみ せめる)

東京キングダムのサード、背番号1。21歳。右投右打。キングダムの次期主砲として期待されている。鮎川とは同期でおそらくライバルとして想定されていたと思われる。アメリカ留学から帰国して二軍で鮎川と対戦し、ホームランを打つ。

言動から鮎川をライバル視しているように見える。

駒井 年男

週刊誌「野球評論」を発行する(有)野球評論の記者。35歳。鮎川に期待している。

寺師 龍馬

土佐パシフィックウォリアーズのプレーイングマネジャー。背番号30。32歳。土佐弁で話す。左打で試合には代打として出場。

関 武蔵

背番号41。31歳。バンドッグスのリリーフエース。前作でも登場したが、左のワンポイントっぽかった前作に対して今作ではリリーフエース。左投げかは不明(少なくとも単行本の段階では)。

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