平野市議のサイト更新(3)
- 公開日: 2006/11/17(金) 21:40[JST]
- 更新日: 2020/03/30(月) 19:09[JST]
今回のコラムは、(コラムの中では明記されていませんが)鹿島の関与に関する問題提起、エンティアム案との類似性の指摘を行っています。その上で「このコンペは官製談合では無いのか」と市長を批判する構成となっています。
まず、コラムの冒頭で、10月2日の本会議の佐々木壽吉市議(リンク切れ http://d.hatena.ne.jp/sasaki-jukichi/) の質問を引用しています。その内容を要約すると、以下のようになります。
今回の採用案は、前回のコンペで失格となった案と酷似しているとの声がある。もし事実なら、環境デザイン研究所のオリジナルとは言えない案が採用されたことになる。また、採用案に関与した建設会社が有利とならないか。
仙田氏は、新球場建設促進委員会で講演しているので、コンペの公平性に疑問が持たれる
採用案には、エンティアムのアメリカ人建設コンサルタントが協力している。
コンペの選考委員長は秋場市長と面識があるはず。
まず、1ですが、応募者が他者からの協力、助言、援助を受けることは、応募要項にも明記されており、問題は無いと思います。また、協力者は施行の入札に参加出来ない、というルールも明記されているため、鹿島の関与が明らかとなれば、協力者に該当する鹿島は参加できないということになりますが、設計を環境デザイン研究所が行うこと自身はルールの範囲内だと思います。なお、大林組が2008年3月14日まで指名停止となったので、鹿島がだめなら、大成・清水・竹中の三社の入札ということになります。
2ですが、当時の仙田氏の講演内容は以前書いたように、現地改装に関するものであり、また、選考委員は主に東京にいる人達であり、今回の選考に影響をあたえたとは考えにくく、正直うがちすぎな気もします。
3についても、特に問題とは思いません。というか、「エンティアムの時に関与していたコンサルタントに協力を仰いだ」ことを理由に除外する方が、むしろ不公平だと思います。4についても、(カープならいざ知らず)市長が環境デザイン研究所を推す特別な事情は無く(でなければ、前回のコンペは当選案無しとしているはずですから)、市長と面識がある人物が委員長を務めていること自身が選考に影響をあたえたとは思えません。てか、竹中案を落としたのは市議会の都市活性化対策特別委員会(平野、宮本両市議も委員を務めていますな)ですし。それに、今回の採用案は、まちがいなく他の3案よりも抜きん出ていて、選考過程に不正があろうと無かろうと、結果に変わりは無かったと思います。
続いて、平野氏はこの佐々木市議の発言を元に、"佐々木議員の質問の真意は、今回の当選作品は、最初に市が実施した民設民営のコンペ当選作『チーム・エンティアム作品』のコンセプト、イメージ図、位置図等々細部にわたって、あまりにも酷似しすぎていることに対する疑問であろうと思います。
"と指摘してますが、佐々木市議はそんなこと一言も匂わせてないです。佐々木市議では無く、平野市議本人の考えでしょう。
続いて、平野市議は、エンティアム案と採用案との比較をしていますが、恣意的な比較をしているように見えます。
まず、初期エンティアム案と採用案の比較(リンク切れ)ですが、平面図同士を重ねた結果、線図である初期エンティアム案の影に採用案が隠れてしまい、実態以上に似ているように見えてしまいます。実際は、ホームの方向や道路の配置などが違います。そして、なによりも、斜視図で比較すると初期エンティアム案と採用案とがコンセプト的にまったく別物であることは一目瞭然です。また、平野氏の比較では初期エンティアム案の「劇場・モニュメント」と採用案の「ウェルカムイベントゾーン」とが類似のものであるかのように併記しているのですが、斜視図でみると分かるように、「劇場・モニュメント」が野球とは関係ない独立した建物であるのに対し、「ウェルカムイベントゾーン」の方は、広場に売店などを併設したものであり、別物だと思います。
続いて、今度はエンティアム後期案と採用案との動線の比較を行っています(リンク切れ)。が、入口の位置が違います。斜視図を観る限りではバックネット裏には入口はないようにみえます(入口はバックネット裏左右)。また、ASAHI.comに載っていた平面図をみるかぎりでは、スポーツミュージアムゾーンの西隣と、東側駐車場の南のあたりに入口がありますが、平野氏の比較には記載されていません。また、採用案では敷地内に歩道が整備されているので、ヤード跡地の西の弧状の道路は歩行者は通らず、ヤード跡地の北西端か大洲通りとの交差点からすぐに敷地内に入ると思うのですが、その点も考慮されていません。
残りの外観図の比較結果は、一見見ると似ているように見えるのですが、細かく見ると、むしろエンティアム案と採用案とのコンセプトレベルの違いが明確になっていると思います。デザインコンセプトはエンティアムは明らかにネオ・クラシックですが、採用案はそのポイントをあえてはずしたデザインとなっています。
以上の比較を持って、平野市議はエンティアム案と採用案とが同じコンセプトであるとし、官製談合であると指摘しています。が、以前調べた限りでは、エンティアム案から採用案に至るまでの間に、カープが一旦コンセプトを白紙から作りなおしたフシがあり、「同じ流れ」とするのは乱暴な結論であると思います。
ちと追加。
アラップって前回のコンペで失格になったとこのひとつですよね。鹿島が絡んでいる可能性があるから環境デザイン研究所案はダメ、というならアラップも当然だめですよね平野市議。民設とはいえ市の土地賃貸事業になるわけですから。
ま、市議の新球場に対する姿勢は、以下のようにコロコロ変わっているので、大した意味は無いのかもしれませんが。
「その建設が仮に300億円かかったとしても、本当に広島市が元気になるのであれば広島市民は納得してくれるのではないでしょうか」(2006/8/4, 予算300億の公設公営を提案)
「さらに付帯施設への協力資金も必要になれば300億円は優に超えるのではないでしょうか。これだけの経費が必要になる事業を2009年春までにどうしても完成させなければならない理由はないはずです。市民にわかりやすく説明できる事業にするため、もう一度考え直すべきです。仙台の宮城県営グランドは室内練習場まで含めて、2年間のシーズンオフを利用して70億円で改修され立派に楽天ファンが集まっています。札幌でも同様に地方の活力がみなぎっています。お金に頼らず、知恵を使うことにより、広島市の限りない活力が生まれるのではないでしょうか。」(2006/10/17, お金を掛けずに市民球場を改装する案を提案)
「民設民営を前提とした「新球場の建設・経営」のコンペをやるべきであり、広島市は貨物ヤード跡地の借地料を戴ければいいのではないでしょぅか」(2006/11/17, 民設民営を提案)
訂正。
アラップは失格ではなく辞退でした。でも辞退した理由は談合がらみなので失格と同等、ってことで。