じゃあ、広域公園はどうあるべきか

本題に入る前に、まず前回のエントリにツッコミが入ったのでそれに反応。

またろ@mataroviola Tweet at 2013/2/18 7:44 JST

サッカーがなくなることにより新たに可能性が出てくる事業を考慮しないとなあ… RT @fugajin: サンフレが出ていくとビッグアーチの収支は(ちょっと)悪化の見通し。 (KtJ's Blog) http://bit.ly/TNAycn

前回のエントリの試算はあくまでも「現行の指定管理形態が続いた」ことを前提としていました。新たなスポーツ事業が発生したとしても、現行の指定管理の形態だと売上は指定管理者にそのまま入ってしまうので試算には入れていないのです。その辺も含めてどうしようか、というのはこのエントリで書きます。

またろ@mataroviola Tweet at 2013/2/18 7:51 JST

あと、電気代に季節変動があまりないからサッカーによる管理費の増はあまりないとあるが、一番大きいのは芝の管理コストで、これは人件費が大きく、電気代には比例しないと思う。指定管理者がゾイシアにいくらで外注してるか、そのあたりを調べてみたいなあ。

あ、芝のコスト忘れてた。広域公園の芝の依託費用は平成19~22年のものが前回の指定管理者募集時の回答の別紙9(リンク切れ URL: http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1311763160330/files/kaitou4.pdf)ってのに書いてあった。広域公園全体の芝管理業務が年1890万(なぜか平成21年だけ2232万3千円)、あと「陸上競技場芝生フィールド土壌調査及び芝生生育調査業務」ってのに毎年212万1千円計上されている。平均すると2187万6750円。でプロサッカーを止めるとどれだけ減らせるか、ということだけど。大体同じくらいのスポーツターフ面積の県営総合グランドの現在の芝管理費が分かれば一番いいのだが、それは見つからなかった。

調べてみると芝管理で安い例として「磐田方式[archive]」というのがあるらしい。磐田方式だと一平方メートルあたり155円/年。広域公園全体(ビッグアーチ、補助競技場、第一球技場)だと430万程度か。ただ、磐田方式は校庭緑地化用のメソッドなので、(プロを前提としない)スポーツターフだと、現行の費用と磐田方式の中間ぐらいになるんだろうな、と。ちょうど中間だとすると一年1300万くらい。サンフレッチェがビックアーチを離れると年900万くらいの削減となる。前回の試算だと1000万程度の負担増、ということだったが、芝を加味すると市にとっては±0程度、ということになるかな。

またろ@mataroviola Tweet at 2013/2/18 7:58 JST

あと、音楽イベントについても、既存の全国ツアーしか検討にあげていないけど、会場難民となっているセットストックや、サウンドマリーナの別会場とか、平和イベントとタイアップした音楽イベントとか、広島単独イベントで継続誘致可能なものは検討できるのではないかとか…

それらを含めて年一追加できれば上出来かと考えてます。それに、広域公園ってそこまでいい会場かという問題も。交通の便のいい跡地に3万人級のスタジアムができたらそっちを使いたくなる。跡地は交通の便もいいし屋内施設(グリーンアリーナ)も大小二つあるし。一回で4000万程出してくれる大型イベントを年一回追加して、市の取り分は半分だから+2000万と見てます。

では本題

1.指定管理を見直そう

まず真っ先に手をつけるべきなのがここ。広域公園は「サンフレッチェ」「コンサート」「テニスコート」という高額な入場料収入を期待できる事業があるにも関わらず、そのような事業が期待できない運動施設用の指定管理ルールで運営されており、入場料収入は基本的に市に入らない(と読めてしまう)。市が直接運営するか、入場料収入の期待値を加味するよう指定管理契約を見直すべきだろう。

広域公園を市直轄管理とした場合、収支はこのように変化する。(サンフレッチェがここを離れて、コンサートが年1回追加、とりあえず他の収入と維持費は変化なしとする)

  • 支出: 4億(変化なし)

  • 入場料収入: 約2億

    • BA15500万(うちコンサート7500万)

    • テニスコート3500万

    • 第一球技場500万

    • 第二球技場1000万

    • 補助競技場他250万

しめて2億の赤。もう少し頑張れば公営スポーツ施設としての許容範囲に収まるんじゃないだろうか。(秋田県立中央公園の指定管理料と入場料収入の差が1億5000万強(ソースのリンク切れ URL: http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1340840919298/files/H23tyuuoukouen.pdf))

2.新しい収益事業を考える

サッカー批評第60号には、市民球場跡地へのサッカー場建設を主張する石橋竜史広島市議のインタビューが掲載されており、広域公園の新しい収益事業として

  • サンフレッチェの練習場

  • 一般向け合宿所

を上げている。どちらも、(劇的な収入増は期待できないが)悪くはない。まずサンフレッチェの練習場。上に書いたように第一球技場、ランニングコストが高い(修繕費が3年で約800万、ざっくり計算で清掃費が年500万(広域公園施設全体で3000万強なので)、芝の管理で年700万ほど)割に収入は第二球技場の半分。今後サッカースタジアムができれば、利用率はもっと低下するだろう。普通にリストラ対象だ。これをサンフレッチェのトップチーム用の練習場にする、というのはどうだろう。具体的には、第一球技場のグラウンド(フル規格のラグビー仕様なので長辺が150メートル以上ある)にクラブハウスを追加して、グラウンドとセットでサンフレッチェに貸し出す。

で、費用。先日着工したサガン鳥栖のクラブハウスの費用が4億6900万円(ソースのリンク切れ URL: http://www.city.tosu.lg.jp/3472.htm)。これは天然芝グラウンド1面(2面中1面は元々ある)分の費用込み。クラブハウス分は4億ってとこか。広島の場合トップチームのみを対象とすればいいので3億と仮定。例によって30年2.5%の市債で建てるとして、年1400万の返済額。これにクラブハウスとグランドのランニングコストがグランド込みで1000万くらいか。クラブがいくら出してくれるか。年3000万くらいは出して欲しいところ。これで年600万のプラス。ただし第一球技場の使用料がなくなるので差し引き100万。

ふと考えたのだが、むしろ5000人級の野球場作ってカープの二軍を誘致するのが一番有効ではないだろうか。土地が足らないけど。

次、一般向け合宿所。実はこれ、宮城スタジアムで既にやってたりする[archive]。36室で最大196人宿泊可能。料金は大人(引率者)3000円学生1000円(食費別)。延べ利用者数は年間15000人程度(ソースリンク切れ URL: http://www.pref.miyagi.lg.jp/uploaded/attachment/56540.pdf)。食費込みで売上は4000~5000万ってとこか(追記:宮城は体育館もプールもあるので広域公園だとここまでの実績は出せないか)。正直これくらいの売上だとイニシャル・ランニングコストと相殺されるレベルじゃないかな。まあ、郊外型の運動公園は使ってもらってナンボなんで、収支が±0ならやるべきだろう。

てことで、どっちも収益面ではあまり期待できそうにないように思える。サンフレッチェがクラブハウスに年5000万くらい払ってくれるなら別だけど。

(2/21 20:10追記)

「サンフレッチェがビッグアーチを離れることによって生じる陸上競技の需要」「一般向け合宿所の利用に伴う広域公園設備の使用料増加」を考慮していなかったことに今気づいた。明日見積もることにしよう。荒っぽく計算した限りではがんばって年1000万円くらい。

(2/22追記)

てなことで見積開始。まず広島市陸上競技協会[archive]のサイトから、広域公園に移動したほうが良さそうな(比較的大規模の)競技会をピックアップ。

  • 広島地区高校総体(3日間)

  • 広島県陸上競技選手権(2日間)

  • 広島市陸上競技選手権(2日間)

  • 広島地区高校新人(2日間)

計9日間。一日あたりの利用料が付属施設・補助競技場含めて30万くらい。計270万の売上。ビッグアーチでのプロサッカーの試合がなくなることで浮く日数は前日練習も含めて40~50日だから上で上げた大きな大会以外で延べ10日くらいの利用があるかもしれない。スタンドや付属施設を利用しない場合の終日料金は155680円なので約160万。計430万。

で、合宿所を設けることによる競技場使用料だけど、一団体で出せるお金は一日3万くらいじゃないかな。延べ200日・団体の利用があるとして600万くらい。

(追記終わり)

3.コスト削減

まずプロサッカーが出ていくことでランニングコスト1000万くらい削減。それから芝管理コストを下げて(ただし第一球技場については、サンフレッチェが使うのならコストを落とせない)-700万。あと、第一球技場廃止で(解体費用が一億くらいかかるとして)-400万くらいか。しめて年2000万円ってとこ。

4.まとめ

てことで、競技場の一般利用による増収1000万、コスト削減で2000万。トータルで年1億7000万の赤字。クラブハウスや合宿所を第一球技場リフォームでやったりすることは可能だろうか。そうすればもっと赤字は減らせそうだが。

ただ、ここでやった見積は、公開されている資料を基にした荒っぽく、そしてかなり甘めのもの(具体的な数字を把握している行政の担当者ならもっと厳しい数字を出してくると思う)。相当努力しないとこの数字は達成できないとは思う。

コメント(0)



Note

本サイトのハイパーリンクの一部は、オリジナルのサイトが閉鎖してしまったため"Internet archive Wayback Machine"へのリンクとなっています。そのようなリンクにはアイコン[archive]を付与しています。

本サイトはCookieを使用しています。本サイトにおけるCookieは以下の三種類のみであり、Cookieの内容に基づいてサイトの表示を変更する以外の用途には用いておりません。