跡地にスタジアムを作った場合のプロサッカーの集客効果を考えてみる

参考にしたのは比治山大学短期大学粟屋研究室の「広島市民球場に観戦に来る人の『ドコカラキテ、ドコニムカウカ』(野球観戦前後の動向)の実態把握」という文献(リンク切れ URL: http://www.hijiyama-u.ac.jp/users/awaya/images/sotsuron/2006shakaikouken.pdf)。この資料は、2006年のカープの試合6試合(うち土日デーゲーム2試合)について、試合ごとに200件ほどのアンケートを行った結果をまとめたもの。

まず、旧市民球場の動向は、

  • デーゲームの前に遊んでいた人の割合: 19.1%

  • 平日ナイター後に飲食・ショッピング等に向かう人の割合: 27.0%(飲食を除外すると3%)

  • デーゲームの後に飲食・ショッピング等に向かう人の割合: 44.6%(飲食を除外すると15%)

となっている。これに対して、2013年のサンフレッチェの試合内訳は、

  • 平日ナイター: 6試合

  • 土日祝ナイター: 5試合

  • 土日祝デーゲーム: 12試合

である。跡地に25000人級のスタジアムを作った場合、J's GOALのスタジアム収容率のデータ(リンク切れ URL: http://www.jsgoal.jp/11mpark/ranking/capacity_stadium.php?year=2013)から推定して土日祝日80%(20000人)、平日60%(15000人)の収容率と乱暴に推定してみる。

さて、今年Jリーグをスタジアムで見るようになって気づいたのだが、プロ野球とJリーグってファンの行動パターンがかなり違う。今年、大学アメフトを見にアミノバイタルフィールド行ったのだが、その日は隣の味の素スタジアムでJリーグの試合(FC東京-新潟)もやっていた。アメフトの方は13時開始なのでスタジアム周辺をぶらぶらしていたのだが、Jリーグの方は17時キックオフなのに当たり前のように昼過ぎに人がいた。知り合い(ガンバサポ)に聞いたら「場所取りとかしなきゃいけないからそれくらい当たり前」だとか… また、スタジアム内や周辺の屋台が充実しており、周辺の既存飲食点への影響は野球に比べて少ないのではないか、と感じた(また、試合時間が短い分、ハーフタイムで飲食しちゃうと試合後の飲食に結びつきにくくなるのでは?、という可能性も否定できない)。

これから乱暴に見積もると、

  • 土日祝日デーゲームの前に紙屋町・八丁堀エリアで消費してくれる人: 10%(一試合当たり2000人/年間24000人)

  • 土日祝日デーゲームの後に紙屋町・八丁堀エリアで消費してくれる人: 30%(一試合当たり6000人/年間72000人)

  • 土日祝日ナイターの前に紙屋町・八丁堀エリアで消費してくれる人: 20%(一試合当たり4000人/年間20000人)

  • 土日祝日ナイターの後に紙屋町・八丁堀エリアで消費してくれる人: 10%(一試合当たり2000人/年間10000人)

  • 平日ナイターの後に紙屋町・八丁堀エリアで消費してくれる人: 15%(一試合当たり3000人/年間15000人)

あたりが妥当なところか。サッカーファンの行動様式的にデーゲーム前や平日ナイター後の消費は野球に対して半減と推測。デーゲーム後の消費は、飲食のみについて半減、ショッピング等については野球と同様と推測。野球のデータが無い土日祝日ナイターだが、試合前の消費については野球のデーゲームと同レベル、試合後については(ファミリー層の率が高くなるため)平日ナイターよりも比率が低くなるのでは?と考えた。

ということで、試合前に44000人/年、試合後に97000人/年の消費が期待できると推定してみる。ショッピングの比率が高そうな試合前の消費を5000円/人、試合後の消費を3000円/人と乱暴に見積もると、5.11億/年となる。そっから、

  • 税収として市に還元されるであろう金額

  • サンフレッチェの人気拡大に伴う経済効果(チーム人件費増に伴う住民税の増加分とか)

云々を考慮すると、「プロサッカーの本拠地スタジアムを都心エリアに配置する」ことに対する価値は年1億強くらいかな、と。(むろん、スタジアムにはアマチュアスポーツ振興とか、スポーツ以外での利用による経済効果もある、というかそっちの方が多分大きい)

いろいろと乱暴な推測であり、また「サッカー観戦にきた人が『サッカーの試合が無い』場合でも都心エリアにきていたであろう可能性」というのも(都心エリアにスタジアムを置く以上)それなりに考慮すべきかとは思うが、参考まで、ということで。

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