実施設計公開&平野市議のサイト更新
- 公開日: 2007/08/26(日) 19:02[JST]
- 更新日: 2022/03/30(水) 20:23[JST]
タイトルの通り、広島市のサイトで実施設計の概要が公表されています。また、今回のコンペ(2006年秋)の記録書を市図書館等で閲覧したり、記録書のPDFのCD-ROMを注文できるようになりました。このPDFファイルは24日の午前中にはダウンロードできたのですが、今はできないようです。私は幸い入手できましたが。
また、平野市議のサイトに、『新球場建設に係る官製談合の疑惑(その5)』が追加されていました。
基本設計からの変更点
選手、スタッフ用諸室について
基本設計の図ではバッテンのついていたプロ専用コーチ控室、監督室だが、実施設計では場所を移した上で正式に設定された。監督室はミーティングルームの奥。
ランドリーは一塁側内野スタンド下からライトスタンド下へ移動。
ブルペンが1チームあたり5つから4つに減少。ただし、それでも他球場よりは多い方かと。東京ドームはホーム3、ビジター2のようですし、札幌ドームは3、メジャーのシチズンズバンク(フィラデルフィア)ですら2つ。ということで、減ったとはいえ4つ分のブルペンは充分といえるかと。そもそもウチに4人もブルペン捕手を雇える余裕が(ry
観客用諸室
グッズショップは三塁側からバックネット裏に移動。ま、至極当然の変更でしょう。
託児室・授乳室は基本設計ではバックネット裏と一塁側だったものが、一塁側と三塁側に移動している。しかし、一塁側、喫煙スペースのすぐ隣に授乳室を置くというのはいかがなものか(喫煙スペースはあとからでも移動可能かとは思いますが)。
内野メインコンコースの売店は基本設計では三塁側2、バックネット裏4、一塁側2だったものが、三塁側1、バックネット裏2、一塁側4に変更。売店の面積は減っているが、トイレを外壁側に、売店をコンコース側に配置するようにしたため、売店の対面面積は増えています。奥行きが2メートルそこそこの売店が多くなったのがちと気になりますが。
外野メインコンコースの売店は変わらず。ただし、バックスクリーン裏の売店は、内野とは逆に基本設計よりも奥行きが深くなっている。
切符売場は、基本設計ではバックネット裏場外に2箇所、三塁側3階フロア(スロープと繋がるはずだった所)に1箇所だったが、実施設計ではレフトスタンド場外に切符売場が追加されている。
5階フロア(内野二階席の一番下のフロア)のボックスシート奥にあったラウンジは縮小して、ボックスシート脇に移動。
5階フロアのトイレは男女各3つから2つに減少。
5階フロアの売店は、分散していたものを左右両端に集約。全体的に、「パーティーフロアの客にやさしく、ボックスシートの客に厳しい」状態に変更されましたな。
基本設計ではなぜか公開されていなかった6階フロア(主に内野二階席とパフォーマンスシート用の通路)が初公開。売店、トイレともにまずまず。パフォーマンスシートの応援団のみなさん、メインコンコースに降りなくてもトイレにいけますよ。
内野に3つ、外野(ライト側パフォーマンスシート)に1つあったエレベーターは内外野1箇所ずつのみに。内野がEV2、外野がEV3でEV1が無いのが謎。内野の方は一階入口がVIP向けエントランスの側で身障者用駐車場の近く、ということで、一般のお客さんは使えそうに無い。ま、健康な人は階段を使えということで。
ブルペンレストランが! コンペ案と比べるとバックネット裏側に移動しており、バックネット裏の入場用の階段の二階の位置に入口があるみたいですね。
観客席
キャッチャー後方の砂かぶり席と、一三塁ベンチの脇にあった場内アナウンス室・審判控え室が入れ換え。まあキャッチャー後方の砂かぶり席って審判とキャッチャーの背中しか見えなさそうだし、テレビ向け広告スペースの確保とかもあるんで、いいんじゃないでしょうか。しかし今気づいたが、外野の砂かぶり席ってネットとかどうするんだろう。
基本設計では両翼バックスクリーン脇にあった芝生席、ライト側は人工芝に、レフト側は一階かさ上げしたデッキに。夏はデッキで利き酒でもやるのか?
びっくりテラスがどんな席かようやくわかった。つまり、テーブル席ね。
5階フロアはちとレイアウト変更。三塁側のはじっこのボックスシートがパーティーフロアになりました。
パフォーマンスシートはどっちも下側が増床され、普通の形になりました。あとテラス席が付いた。
まあ、何だかんだいって、いい球場だと思いますね。
平野市議のサイトについて
前半のミース氏ネタは、先月私のサイトで取り上げたやつですな。ミース氏のサイトに実績として示されている「2001年として示されている広島新球場の絵がコンペ出展作品のものであった」ことに付いて、平野氏は、
しかし、この「hiroshima ballpark:hiroshima,japan2001」と題されている作品は、 2001年当時作成されたものではないことは明らかです。こうしたことを考え合わせますと、 これは、何らかの理由により、最近になって、『辻褄合わせのために作られたもの』としか 考えられないのではないでしょうか。
と主張していますが、考えすぎです。ミース氏のサイトの他の作品をみても、クレジットされている年は設計開始年だったり、竣工年であったりと、まちまちです。この手のサイトは、普通外部委託ですから、年については深く考えずに、nbbj時代の球場案の年である2001年を、今回のコンペの年としてクレジットしてしまった、ということでしょう。
正直、平野市議は「検証により棄却されない仮説を、積極的に採る」という典型的な陰謀論の思考パターンにはまり込んでいるように思えてなりません。
また、平野氏は、コンペ案と実施設計の延床面積を比較して、後者が前者よりも30%減少していることを取り上げた上、
このような手法が許されるのであれば、極端な言い方をすれば、出来てみたら別物に なっていたということにもなりかねないと思うのです。このことについても、為政者として、 明確に答える必要があると思うのですが、皆様はどのようにお感じでしょうか。
と、主張しています。しかし、コンペ当選案(展示のみ)、基本設計、実施設計ともに図面が公表されていたわけですから、別物であるならばいつでも批判できたわけです。しかし、基本設計公表の段階でそのような批判がこれといって出ていなかった以上、デザインの本質を損なうような設計変更は無かったと大多数の人は判断したといえるのでは無いでしょうか。基本設計と実施設計ではほとんど延床面積は変わっていませんし。
コンペ案のスタンド断面図と、実施設計のスタンド断面図等の資料を比較してみると分かるのですが、コンペ案から基本設計・実施設計の仮定で変化したのは以下の点です。
内野二階スタンドの縮小(1000席+放送席)。
4階フロア(プレス、メディア用)の追加
レフト一階席及びパフォーマンスシートの増床
ボックスシートの削減(コンペ案では上のテラスよりも前にでていましたが、実施設計では後退しています)
二階フロア(ブルペンレストラン及び将来の予備とされたエリア)の大幅な削減。
内野メインコンコースの外側の縮小。コンペ案では売店の外側にさらに通路がありましたが、基本設計・実施設計では無くなっています。当然、この部分の下には二階分のフロアがあるわけで、この部分に付いては3フロア分の削減となります。また、内野メインコンコース上の売店の上には、4階通路(ボックスシート・パーティフロア用。基本設計以降は5階)用の売店がさらにあったのですが、それもなくなりました。
以上、延床面積に与える影響が大きいのは、最初の奴と後ろ2つですが、これらの変更、観客にとってそれほど困る変更では無いと思うのです。影響が大きいのはむしろテナントであるカープですが、折にふれ設計案を見ているはず(商売にかかわる問題ですから)のカープが文句をいっていない以上、問題無しかとは思いますね。
ただ、託児所と授乳室はもう少し増やした方がいいと思うのですが・・・ コンペ案では内野メインコンコースに4箇所、外野(ライト)に1箇所、アッパースタンドにも2箇所あるんですよね。こういう所をけちるべきじゃないと思うんだが。ま、フルキャストや札幌ドームの実例を見る限り、増設することは難しくはなさそうだが。
余談だが、広島市の記録資料、日本語ファイル名の上にLHAのDOS実行ファイル形式でアーカイブ、って何考えてんだか。LHAとPDFって同じ圧縮アルゴリズムだから圧縮されない(実質、単に書庫化しただけ)し、XP以降はZIPに標準対応してる訳だし。
Linuxでも解凍できたけど単に「自己解凍形式」じゃLHAかZIPかわからんでしょ。ほんとにもう。
あと日本語ファイル名。Linuxだとしおりが機能しないから止めてほしいのだが。
(投稿者URL: https://twitter.com/ChayK42)
実施設計概要の件でメールを送っています。
よろしくお願いします。