Mac Mini

でましたな。

このセグメントに需要が有ることは従来から指摘されていたのだが、おそらくは「稼ぎ頭のPowerMacの売り上げに支障を来たす」という(Appleにとっては)致命的な欠点があったために、Appleは二の足を踏んでいたのではないかと思う。

今回Appleはついにこのセグメントに手を出したわけだが、どの様な腹づもりでいるのか、ちょっと推測してみようと思う。

まず、今回Appleがこのような製品を出した理由だが「Macユーザの減少がいよいよ洒落にならないレベルに落ち込んだ」というところだと思う。ジョブズ復帰後のAppleは一貫して利益最優先の戦略をとってきた。そのため、製品ラインナップを極端に絞り、またエントリーマシンには(しょぼい内蔵モニタを使わざるを得ないなどの)ハンデをつけ、より多くのユーザをPowerMacに誘導する、ということをやってきた。(CPUは遅くてもいいけどモニタは外付けがいい、という層も高価なPowerMacを選択せざるを得なかった)低価格のモニタレスMacが当時有れば、多くのユーザはこちらを選択していただろう。それは販売不振で早々に撤退したCubeが中古市場で人気があったことからも明らかだ。

この戦略は一昨年くらいまでは有効に機能し、Appleは継続的な黒字化に成功した。反面、この戦略はユーザ離れを起こすリスクがある。事実、Apple発表の出荷台数の推移を見る限りでは一昨年か昨年あたりには起こっていなければならない「CRT iMacユーザの買い換え」の傾向が見られていない。彼らはしつこくOS8.6あたりを使い続けることを選択したか、或いはWindowsに逆スイッチしてしまったのだろう。特にiMacが初めてのマックだった、という層はMacユーザである期間が短く、それ故にソフトウェアの投資額も低く、また古くからのマックユーザに比べると忠誠心も低い。彼らはWindowsにスイッチすることに対してもさしてためらわないだろう。

ユーザ数が伸び悩んでいる状態においては、ソフトハウスの撤退が起こりやすい。嘗てはMacでもアプリケーションの選択肢は結構豊富にあったものだが、現在では「定番ソフト以外全滅」という状況に近づきつつある。この結果、「ソフトハウス同士の競争が無くなるため、定番ソフトの質そのものが低下する」「定番ソフトに満足できないユーザがWindowsに移行する」「ユーザ減少によって、ソフトハウスの更なる離脱が起こる」という悪循環が発生する。この状態が続けば、PowerMac自体の売り上げも減少することが確実だ。

ようやく前置きが終わった。つまり、今回のAppleの戦略変更は「利益の大幅な減少を覚悟して、ユーザの確保を最優先させる」ということだろう。その場合、Appleが今後とる戦略は次のようになると思う。

サーバとサービスで稼ぐからMac本体の利益率は気にせず出荷台数の確保を優先させるよ作戦

読んで字のごとし。利益を出すのはXserveやらサーバ関係のシステムやグループウェアやそれらのサポートであり、Mac本体はこれらのおまけ、或いはこれらを売り込むための広告という位置づけに変わる。

こういう戦略の場合、ただMacを安くするだけではなく、ラインナップを拡充する必要も有るだろう。ひょっとしたらMac互換機の復活も有るかもしれない。こうなればMSも対抗上、ここしばらくライバル不在でちとだらけぎみだったアプリケーション(IEとかOfficeとか)の開発を活性させるだろう。Windowsユーザにとっても万々歳だ。願わくばこうなって欲しい。ただ、Appleって、下記の作戦をとりかねない企業なんだよなぁ....

ユーザを確保したら梯子を下ろすよ作戦

パフォーマ、互換機切り捨ての再現。Mac Miniもとっととラインナップから消して、Macユーザには高価格機をを買ってもらいます。利益率の高い機種が売れてAppleウハウハ。

ま、何にせよ今後の行方を生暖かく見守って行きたい。

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